【絶対合格】公務員試験における志望動機の考え方!例文も紹介します!

公務員試験では筆記試験と面接試験の両方があり、どちらもクリアしなければ「合格」を勝ち取ることはできません。

筆記試験の合格最低点ギリギリだった受験生が面接試験で良い成績を残し、最終的には「上位合格をした」というケースは毎年よく見られます。

しかし一方で、筆記試験では申し分ない点数だったのに、面接試験の結果不合格になってしまう受験生もいます。

特に地方公務員の試験では面接試験の結果を重視される傾向にあり、このような事態がよく見られる現実があります。

自治体によっては以下のようなパターンも多く存在するため、いかに面接試験が大切か分かります。

・筆記試験に合格後、一度点数がリセットされて面接試験の点数だけで最終的に合否を決める
・筆記試験の点数がリセットされなくても、2次面接、3次面接の配点比率を非常に高く設定している

また、面接の配点方法について公表しているところと、そうでないところに分かれる現状もあります。

さらに、採用年度によって試験方法や合格者の出し方が変わることもあるため、受験先の受験要領は事前にしっかりと確認する必要があるでしょう。

今回は、面接の基本となる面接カード(エントリ—シート)や、面接の必須項目である「志望動機」について、試験種別に詳しく解説していきます。

なお、市役所の志望動機の書き方については下記の記事で紹介しています。

志望動機の考え方

面接において「なぜ、公務員になりたいのか」ということをリサーチするため、志望動機についてはかなり詳しく聞かれると思っておいて間違いないでしょう。

そんな比重の高い志望動機について、どのように考えるのが正解なのか、また受験者の本音をいかに面接官に響く言葉で伝えられるか、項目に分けて具体的に紹介していきます。

まずはNG例をいくつか案内しましょう。

NG例その1.公務員は安定しているから

「公務員は安定した収入を得られる」
これは世間一般的なイメージではありますが、果たして本当にそうなのでしょうか。

最近、ある地方公務員が「仕事ができない」という理由で、最終的に解雇に至ったという報道がありました。

また、近年国家公務員も含め全体的に給与は下がる傾向にあり、15年前に比べて平均年収が約200万円減少したという数値を公表している自治体もあります。

このようなデータを見ると、親世代の公務員に比べ、「100%安定している」とは言い切れないかもしれません。

NG例その2.プライベートと両立したいから

公務員はワークライフバランスがしっかりしていて、残業なく定時に仕事が終わると考えている方も多いでしょう。
確かに、あまり残業のない役所や部署は存在します。

しかし、例えば中央省庁の国家公務員は、終電間際(あるいは終電を超えて)まで働く人がたくさんいて、場合によっては民間企業よりも長時間労働している方もいます。

地方公務員でも、部署によっては月に何十時間も残業しなければならなかったり、土日出勤があったりします。
しかも、たくさん残業をしても、予算の関係で残業代が半分も出ないということもザラです(自治体によります)。

このように、公務員として働くということは、プラスだけではなくマイナスの側面も持っているということをきちんと理解しておく必要があります。

もちろん、働く場所によって勤務時間や休日の取得方法等は異なりますので、一概に大変だとは言い切れないところはありますが、「とにかく民間企業より公務員の方が楽だ!」という考えは持たない方が良いでしょう。

また、面接試験では面接官と馬が合い、話が盛り上がることも珍しくありません。
そこで注意していただきたいのが、ポロッと「プライベートの時間もしっかり確保したい」と伝えてしまうことです。

やはり面接官も人間であるため、「できるだけ働く意欲が高い人」を採用したいと思い、「仕事<プライベート」の考え方の人材は「求める働きをしてくれないのではないか」と懸念するでしょう。

プライベートの時間も大切にしたいという意思は隠さずに伝えても良いと思いますが、あくまでも「仕事とのバランスを大事にする人」とみなされるような答え方をするのが好ましいです。

NG例その3.民間企業のように利益を追求しないから

一見まともな理由に見えますが、実はこちらの理由は面接時にはふさわしくないとされています。

その理由は、利益を追求しなければ社会経済は停滞し、税収も上がらず、結果として行政サービスを行うことができなくなってしまうからです。

また、公務員の事業の財源は税金です。
限られた予算の中で最大限のパフォーマンスをしなければ国民は納得しませんし、「お金が何に使われたか」は常に国民の目に見えるようにしなければなりません。

つまり、公務員は国民のために最大限の利益を追求しなければならないということです。

会社の経費と税金ではお金の形は違いますが、お金を使って事業を行う以上、やはり利益を追求しようとする姿勢は公務員にも必要不可欠なのです。

民間企業とアプローチする方法は違えど、公務員も利益追求をする姿勢は必要ですので、志望動機を述べる際に「利益を追求しないから」という理由をそのまま持ってくるのは好ましくありません。

さて、ここまで3つのNG例を見てきましたが、「じゃあ、どう志望動機を伝えれば良いのか?」という疑問を持った方もいるでしょう。

ここからは、NG例を踏まえた上で、志望動機を作成するにあたってのポイントを確認していきましょう。

ポイント1.公務員にしかできないこと

まずは「公務員にしかできないこと」を思いつくかぎり書き出し、自分の経験を交えて考えてみましょう。

例えば、民間企業と公務員で言えば、民間企業のサービス対象はそのサービスを利用する顧客であるのに対し、公務員のサービスの対象は全住民(全国民)です。

そのため、例えば「子育て支援をしたい」といったときに、民間企業だと対価を支払った顧客に対してサービスを提供することになりますが、行政として支援制度を作ると、ほとんど全ての子育て世帯に対してサービスを提供することが可能となります。

ただし、福祉や雇用政策なども地方公務員の仕事の一つではありますが、「民間企業や非営利団体にはできない」というわけではありませんので、伝え方には注意が必要です。

その他、例えば国税専門官や裁判所事務官などの専門職であれば、税金の徴収や裁判手続きなど、その職業しかできない仕事に従事することになりますから、これも「専門職の公務員にしかできないこと」の一つです。

公務員と言っても様々な職種がありますから、「何が公務員にしかできなくて、何が民間企業(非営利団体等)でもできるのか」という点をしっかりと整理する必要があります。

ポイント2.公務員として何がやりたいのか

面接では「自分が公務員になったらどんなことをやりたいのか」をアピールすることが重要です。

例えば、福祉や雇用政策に関しては、自治体は民間企業や非営利団体の協力を得て行っています。
そうすると結局、「公務員ではなく民間企業に勤めてそこで力を発揮すればよいのでは?」ということにもなりかねません。

面接官に「民間企業でも良いのではないか?」と思われないためにも、「公務員として何がやりたいのか」を明確にすることが重要です。

併せて、そのやりたいことに対し、自分のこれまでの経験から「自分が公務員になったらどのように貢献できるのか」までアピールできるようにしておきましょう。

ここがいわゆる自己PRになる部分ですので、志望動機と併せて考えてまとまりを持たせるようにしてください。

さて、公務員は何ができるのか?というのは実際に働いた人にしかイメージが湧きにくいかもしれません。

しかし、自治体のホームページや採用パンフレットなどで、公務員がどのような仕事をしているのかはある程度理解することは可能ですし、実際に公務員として働いている人に直接仕事の話を聞いてみるのも一つの方法です。

最近は、個別の業務説明会やインターンシップなどを積極的に行っている自治体も多いですから、積極的に参加してみることをおすすめします。
このような場に参加すると、現場で働く公務員の生の声を聞けるため、よりリアルに公務員像をイメージできると思います。

気になることや疑問に思うことがあれば、予備校に頼りっぱなしにするのではなく、自ら情報収集をすることにより、正確で自分のためになる有意義な情報を手に入れるようにしましょう。

試験種別に見る「志望動機」の例文

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“公務員”と言っても、地方公務員や国家一般職、国税専門官など様々な職種があります。

それぞれの職種で適切な志望動機を伝えることができなければ、「この仕事についてきちんと理解していない」とみなされることもありますので、注意が必要です。

ここからは、試験種別に志望動機の例を見ていきます。

地方公務員

都道府県、市町村、特別区などで働く地方公務員の面接では、「なぜ、その自治体で働きたいのか」について詳しく聞かれる傾向があります。

しかしながら、受験生にとってはこの質問がもっとも難しく、伝え方に苦労するところでしょう。

さらに、いわゆる”面接カード”も自治体によって様々な形式となっており、志望動機欄が2~3行と短いところもあれば、5〜10行びっしりと書かなければならない自治体もあります。

2~3行であれば、そこまで具体的に記入する必要はありませんが、5〜10行ともなれば、より具体的な説明が求められます。

面接カードの作り方としては、以下の3点を参考にしてみてください。

【面接カードの作り方】
①志望自治体(の仕事)に興味を持ったきっかけ

②志望自治体でやりたい仕事
③自分はどのように貢献できるのか

①志望自治体(の仕事)に興味を持ったきっかけ

まず、①については、以下のような例文が考えられます。

(1)〇〇市で生まれ育ちました。実際に生活をする中で、△△という課題を感じ、地元をより活気のある街にしたいと思い志望しました。
(1)は、その自治体が自分にとってゆかりの地である場合に、よく使われるパターンの例文です。
ただし、”地元であること”を全面に出す場合には、少し注意が必要です。
「地元だから働きたい」というだけでは、「その課題が解決できる企業に入れば良いのでは?」と返されてしまう場合もあります。
そこで、先ほど紹介した“公務員にしかできないこと”も織り交ぜることで、客観的に見ても納得感のある志望動機を作ることが可能となります。
(2)〇〇市主催の業務説明会に参加した際に、近年力を入れている△△政策に興味を持ったのがきっかけです。

(2)は、政策面からきっかけを述べるパターンです。

この場合、自治体主催の業務説明会に限らず、大学や予備校主催の説明会、インターンシップなどに参加したことを記載しても良いでしょう。

説明会等で公務員に関する話を聞いてきた中で、「何に興味を持ったのか」という点を明確に説明できるのが望ましいです。

②志望自治体でやりたい仕事

次に、②については、以下のような例文が考えられます。

〇〇市が力を入れている「町おこし」の業務に携わってみたいです。具体的には、例えば歴史的資源や限定イベントを開催するなど、◯◯市独自の強みを全面にアピールする取組を実施していきたいです。

やりたい仕事については、各自治体のホームページや広報誌などから、自分が最も感銘を受けた政策自分のこれまでの経験から紐づけやすい政策をまずヒントにしてみると良いでしょう。

多くの自治体は様々な”計画”というものを作成していて、そこには実施している政策の一覧が記載されていますから、子育て支援や観光振興、地域振興など、その自治体が力を入れている取組を見ていくと、興味のある分野が見つかると思います。

ここでの注意点としては、ざっくり・ぼんやりした回答は避けることです。

例えば、福祉関係の仕事に興味が湧いた場合、「福祉をやりたい」というよりも、「子育て支援をやりたい」「高齢者支援をやりたい」というように、仕事の分野を絞った方が自分が説明しやすくなりますし、面接官側も納得しやすくなります。

面接時には、「その分野で具体的に何をやりたいのか?」と聞かれることもあるので、“やりたい分野”の中で”具体的にどんな取組をしたいのか”まで考えておくことをおすすめします。

面接カードの文字数にかなり制限がある場合には、具体性のある部分はカットし、面接時に口頭でしっかり説明できるようにしておきましょう。

③自分はどのように貢献できるのか

最後に、③については、以下のような例文が考えられます。

私は、大学の専攻で学んできた異文化への理解や国際的な視点を活かして、〇〇市の観光振興に貢献します。

この例文のように、あなたの貢献度をアピールするには、あなたのこれまでの経験と自治体での仕事を紐づけることがポイントです。

そのため、闇雲に「貢献します、頑張ります」と熱意を伝えるだけでは意味がなく、貢献をアピールできるだけの根拠となるエピソードを整理しておくことがとても重要です。

そして、これまでの経験を紐づけるにあたっては、各自治体の仕事の違いについての理解が必須となります。

都道府県・政令指定都市・市町村・特別区のそれぞれの役割について見ていきましょう。

例えば、住民の声にしっかりと耳を傾け、地域密着型の政策に関わりたいのであれば、政令指定都市を含む市町村・特別区で働くのが良いでしょう。
政令指定都市は、市町村に比べると広い権限が委ねられる場合が多いですが、市民に近い立場で仕事をするという意味では同じです。

一方、都道府県はより広い範囲を管轄します。
都道府県にある数多くの市町村をまとめる役割があり、国と市町村との調整役として働くことになります。

そして、特別区は23区ともそれぞれ個性豊かですが、全国に先駆けた取組を実施したり、区同士で業務を連携したりするという特徴があります。

このように、自分はどの立場でどんな仕事をしていきたいのかを意識しておくと、面接でもスムーズに意見を伝えることができるでしょう。

国家一般職

国家一般職の面接カードでは、「志望動機・受験動機」の欄が2行弱と、「志望官庁等」を2つ書くことになります。

志望動機については、たった2行弱しか書けないため、抽象的になるのは仕方ありません。

以下のような記載例でも実際に合格している方が多いので、参考にしてみてください。

国民一人ひとりが安心して暮らすことができる社会を作ることに貢献したいと考え志望しました。

注意点としては、志望動機の横に記入する「志望官庁等」と合わせた志望動機を書くことです。

例えば、国土交通省を志望している方は、「安心して暮らすことができる社会を作ることに貢献したい」という志望動機は、志望官庁等とバッチリ適合していると言えるでしょう。

実際の面接時には、作成した面接カードをもとに、面接官から具体的な志望動機について質問されます。
以下に質問と回答例を挙げてみました。

質問:「安心して暮らす」とは具体的にどのようなことですか?

回答例:「安心して暮らすとは、日本に住む全ての人が不安を抱かずに心地よくいられる暮らしのことだと考えています。例えば、道路や鉄道、住宅、公園などの整備やバリアフリー化などを通して、ハード面を強化していくことが一つ有効な方法だと思います。年齢や障害、国や地域などの違いにかかわらず、全ての人が安心して暮らせる住みよい社会を実現していきたいです。」

このように、単に志望動機を伝えるだけではなく、志望官庁と絡めて回答することにより具体性が高まります。

国家一般職は、面接までに業務説明会などが頻繁に行われていますので、そこで職員の説明を聞いたり、疑問点を質問して、より精度の高い回答を作っていくようにしましょう。

国税専門官

国税専門官の面接カードでは、国家一般職よりも少し長い3〜4行に志望動機を書くことになります。

面接自体は例年15分程度と短いため、地方公務員とは異なり、記載している志望動機について深く突っ込んで聞かれるということはあまりありません。

国税専門官の志望動機のまとめ方としては、以下のポイントを意識してみてください。

①なぜ、「税」に関心を持つようになったのか
②なぜ、専門的な仕事をしたいのか
③自分はどのように貢献できるのか

これらについて、できるだけ分かりやすく記載できると良いでしょう。

「国税専門官」という専門的な仕事柄、多くの受験生が似たような志望動機を書くことになりますが、それでも皆さん問題なく合格していますので安心してください。

参考として、以下のような記載例が挙げられます。

私が国税専門官を志望する理由は、業務説明会に参加したことをきっかけに、税の専門家として国の財政基盤を支える仕事に魅力を感じたからです。税の徴収では、納税者の方々に対して、納税の大切さや納税のやり方などを十分にご理解・ご納得いただくことが重要だと思います。私は、学生時代のアルバイト経験で培ったコミュニケーション能力を活かし、納税者の方々一人ひとりに対し丁寧な対応を意識して業務に取り組んでいきます。

裁判所事務官

裁判所事務官の面接カードでは、「裁判所職員を志望した動機」で大体4〜5行、「裁判所職員としての抱負(取り組んでみたい仕事、あなたが貢献できること)」で3〜4行書くことになります。

記入箇所は2つに分けられていますので、それぞれ質問の意図に沿った回答を記載するようにしてください。

また、国税専門官と同様、専門職にあたるので、多くの受験生が似たような面接カードになることが予想されます。

しかし、国税専門官と異なり面接時間は25〜40分程度とだいぶ長いため、記載内容によっては志望動機をかなり深く掘り下げて聞かれる可能性もあるという点を頭に入れておきましょう。
もちろん、全く聞かれないという方もいますが、こればかりは面接官によります。

次に、実際の面接カードにどのような回答を記載すれば良いのか、具体的な例を紹介します。

①裁判所職員を志望した動機

私は大学で法学部を専攻し、将来は法律に関わる仕事に就きたいと考えていた際、裁判所職員という仕事を知りました。説明会や実際の裁判傍聴に参加していく中で、公正・中立な立場でスムーズに裁判を進行していくという裁判所職員の役割に魅力を感じ志望しました。

ポイントとしては、別の欄に抱負(やりたいこと、貢献できること)を述べる必要があるため、こちらの欄では志望動機だけを述べるようにしてください。

裁判所職員の仕事をいつ、どのように知ったのか、裁判傍聴などで裁判所職員の役割をどう感じたかといったことを組み込むと良いでしょう。

裁判所職員は弁護士や検察とは違い、常に中立の立場で仕事を行わなければなりませんから、似たような職種との違いについても理解を深めておきましょう。

②裁判所職員としての抱負(取り組んでみたい仕事、あなたが貢献できること)

私は、民事部での仕事に携わってみたいです。大学で民法について学んだことがきっかけで、民事裁判に興味を持つようになりました。一般の方が裁判所に来庁する機会はあまりなく不安になる方もいると思うので、私のコミュニケーション能力を活かし、安心して参加していただけるよう努めていきます。

ポイントとしては、民事部・刑事部・家事部、裁判部など、自分が興味のある分野を示すことです。

裁判に携わるにあたり、自分はどのように貢献できるのかを記載するようにしてください。

志望動機を明確にして合格を勝ち取ろう

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もし公務員試験に合格すれば、きっと長く働くことになるでしょう。
志望動機が曖昧な人は、せっかく合格してもすぐに退職してしまうかもしれません。

このような事態になっては、自分にとっても採用側にとっても、デメリットにしかなりません。

どんな組織にも同じことが言えますが、面接官はやる気に満ち溢れた熱意を持った人材を採用したいと考えています。
そして、自分の熱意を正確に伝えるためには、志望先の組織について入念な下調べをしていくことが重要です。

「なぜ、公務員になりたいのか」「公務員になったらどのように社会に貢献したいのか」しっかりと言語化しながら考え、面接試験に挑んでください。