社会人が公務員試験の面接を突破するためのポイント!よく聞かれる質問も紹介!

すでにご存じの方も多いと思いますが、公務員試験の合格率を高めるためには面接対策が重要です。

特に地方公務員の試験では、ほとんどのケースで筆記試験よりも面接試験の方がより配点が高く設定されています。

例えば、ある採用試験において、Aさんは筆記試験で8割程度得点できたものの、2次試験の面接でうまく受け答えができず、結局不合格になってしまったという事例もあります。

特に、社会人の方が公務員試験を受けるとなれば、一番問題となるのが試験対策時間の確保だと思います。

試験に受かるためには、筆記試験と面接試験、両方の対策をしっかりと行わなくてはなりませんが、これはかなり大変でしょう。

そこで今回は、公務員試験を受ける社会人の方に向けて、面接試験の対策方法注意すべきポイントについて紹介します。

社会人が公務員試験の面接で合格するための対策法3選

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時間に余裕がない社会人が公務員試験を受けるとなれば、より効率的に対策を行うことがとても重要です。

ここでは、公務員試験の面接で合格するための対策法について具体的に説明していきます。

面接対策に取り掛かるのは半年前から

公務員試験の受験生の多くが、「筆記試験が終わってから面接対策を行えばOK」と思っているかもしれません。

特に、民間企業で営業職などの経験がある方であれば、日頃のコミュニケーションスキルに長けていることから、そのような考え方になるのはごく普通のことでしょう。

しかし、この考え方でいるのは非常にリスクが高いです。

公務員試験は筆記よりも面接の方が配点が高く設定されているケースが多いだけではなく、民間企業から公務員への転職の場合には、転職理由について深く掘り下げて質問されることがとても多いからです。

この”質問の掘り下げられ方”は、社会人であるからこそと言えますが、こうした質問にうまく受け答えをするためには、じっくりと抜かりのない自己分析を行い、何度も面接練習を行うしかありません。

しかし、こうした対策を不足なく行おうとすると、筆記試験に合格した後から面接本番までの短い期間だけでは、特に時間が限られた社会人ではとても足りません。

確かに、「筆記に合格しないことには面接を受けることもできない」というのは事実ですが、仮に面接に自信があったとしても、筆記試験の合格を確認してから面接対策を始めるのでは遅いのです。
面接が不得意だと自覚している場合には尚更です。

そのため、面接対策に入るタイミングとしては、半年前くらいからをおすすめしています。

一見「早すぎるのではないか?」と思われるかもしれませんが、早めに対策に取り掛かることで、着実に面接時の受け答えを磨いていくことが可能となります。

予備校を使う

面接対策を進めるにあたっては、公務員試験対策の予備校を利用することも大切です。

現代ではインターネット上に面接対策に関する情報が溢れていることから、それらを参考にしている方も多いかと思います。

しかし、それらの情報の中には誤った情報や極端な主張も多く、鵜呑みにするのはかなり危険です。
そのため、信頼できる予備校でしっかりと指導を受けることが必要です。

特に社会人採用試験は倍率が非常に高いため、予備校を使わずに合格することは極めて困難です。

予備校を選ぶときには、「どの予備校を選べば良いの?」と悩む方もいるかと思いますが、予備校と自分の相性もありますから、複数の予備校のセミナーに参加し、自分が最も信頼できそうだと感じる組織を選ぶのがよいでしょう。

注意点としては、大卒程度試験ではなく、社会人採用に力を入れている予備校を選ぶことです。

やはり、大学生の面接と社会人が受ける面接とでは質問内容や求められる回答のレベルが異なりますので、社会人採用に特化した予備校の方が、より適切な指導を受けられるでしょう。

実際に面接練習をする

予備校などで面接の基本を学んだら、面接練習に入りましょう。

社会人であれば、就活の際に一度は面接を経験されているのでお分かりかと思いますが、面接練習を行う際は、第三者からのチェックを受けながら進めていきましょう。

【チェックポイント】
・姿勢、
声の大きさ、話し方、表情
・回答の明瞭さ
・回答の整合性

これらのポイントは、自分一人ではなかなか気づくことができませんから、客観的な視点で判断してもらうことが必要です。

そこでおすすめの方法としては、模擬面接を受けることです。

予備校に通っている方は、サービスに模擬面接が含まれていることが多いですから、予備校に確認の上、そちらを利用していくと良いでしょう。

予備校に通っていない方は、都道府県が主体となって設置している「ジョブカフェ」などを活用して練習を積んでみましょう。

ジョブカフェは、原則15~34歳までの比較的若い年齢の方が対象ですが、35歳以上の方でも同じようにサポートやフォローを受けることが可能と言われています。
都道府県ごとに取り扱いが異なるので、利用を検討している方は一度調べてみてください。

ただし、予備校以外を利用する場合には、模擬面接をする人が面接対策のプロではないという点に注意が必要です。

特にジョブカフェなど一般の施設の場合には、公務員試験対策に精通した方が対応しているわけではありませんので、的確なアドバイスをもらえなかったり、民間企業向けの面接対策になってしまったりすることもあるという点は理解しておきましょう。

なお、具体的な練習方法と練習の効果を高めるコツについては下記の記事で紹介していますので、併せてご覧ください。

社会人が公務員試験の面接で注意すべきポイント

公務員試験の面接において、学生と社会人では面接官からの見られ方が大きく異なります。

学生と社会人の大きな違いは、簡単に言ってしまえば、社会で責任ある仕事をしたことがあるかどうかです。

面接試験における”社会人ならでは”の注意すべきポイントを押さえることで、合格を確実なものとしていきましょう。

“退職(転職)理由”と”公務員を志望する理由”のエピソードの流れ

社会人が公務員試験の面接を受けると、必ずと言っていいほど「現職を辞める(前職を辞めた)理由」と「転職(退職)してまで公務員を志望する理由」をセットで聞かれます。

この質問は、社会人の公務員試験の面接においては核となる部分ですから、ここのエピソードの流れがスムーズではないとなると、合格することはかなり難しくなってしまいます。

そのため、これらの質問については、説得力のある回答で面接官を納得させることがとても重要となります。

面接官が納得感に欠ける回答をしてしまうと、「その仕事がしたいなら、他の会社でもできるのでは?」「他の部署に異動すれば叶うのでは?」と返されてしまうケースがほとんどですから、“退職(転職)理由”と”公務員の志望理由”は必ずセットで考え、説得力のあるエピソードを説明できるようにしてください。

また、職歴が複数ある方は、それぞれの職歴に対して退職・転職理由を詳しく聞かれることもあります。

特に、面接時間が長い組織は時間がたっぷりありますから、深く突っ込まれることを想定した上で、一つずつ丁寧に退職・転職エピソードをまとめておきましょう。

しかし、いくら自分でしっかり対策をしていても、いざ本番で掘り下げた質問をされるとうまく答えられなかったというケースは多々あります。

こういった事態を避けるために、模擬面接などを何度も行い、回答する内容を詰めていく作業が必要なのです。

現職(前職)の功績を全面に出しすぎない

面接試験で社会人がアピールできるものの一つとして、”現職(前職)での功績”が挙げられます。
例えばよくあるものとしては、社内での目標達成率や順位などの具体的な数値、表彰歴などです。

その功績を初めて聞く人からすると、具体的な数値や表彰などは分かりやすい指標となりますから、自己PRとしてアピールすること自体は悪いことではありませんし、積極的に盛り込んでいくべきでしょう。

しかし、そうした功績を全面に出しすぎると、過去の功績に執着しているような印象を与えてしまったり、こだわりが強そうな印象を与えてしまったりする場合があります。

面接官によっては、「そんなに実績があるなら、わざわざ転職する必要はないのでは?」と返されてしまうこともあります。

公務員に必要な素質の一つとして重要なものは”柔軟性”ですから、堅物な印象を与えないようにPRしながら、新しい職場にも順応できることをアピールしていきましょう。

社会人の面接でよくある質問と回答例

社会人が公務員試験の面接を受ける際には、志望動機や自己PRといった誰もが聞かれる質問以外に、社会人特有の質問をされることになります。

いくつか聞かれやすい質問をピックアップしましたので、NGな回答例とOKな回答例をそれぞれ見ていきましょう。

現在までの経歴は?

私は○○社に6年間勤め、コールセンターに3年間携わった後、商品開発に携わりました。
私は○○社で6年間勤めてきました。
入社して3年間は△△のコールセンターでお客様対応をし、お客様満足度を20%向上させることに成功しました。
その後3年間は企画部のチームに加わり、□□の新商品の開発を担当しました。
チーム一丸となって新商品の開発に成功し、社内で「グッドアイデア賞」を受賞しました。

自分の経歴を伝える際は、どのような経緯で何をやってきたのかをただ羅列するのではなく、「経験した事柄により、具体的にどういう成果を残したのか」まで伝えるようにしましょう。

なぜなら、面接官は仕事の内容よりも、あなたが公務員としてどのように力になってくれるのかを知りたいからです。

職歴が多い場合には、説明が長くなりすぎないよう、かいつまんで伝えることを心掛けましょう。

なぜ、民間企業ではダメなのか?

私が携わってみたい〇〇支援は、今の会社ではできないからです。
確かに、民間企業でも△△などを通じて○○支援を間接的に行うことは可能だと思います。
しかし、企業としてのサービスだと、金銭的な理由などから支援を受けづらい人々が一定数出てきます。
そうした人々にもサービスを提供していくには、行政の立場で○○支援を行うことが重要であり、私もその一員として携わってみたいと思い、公務員を志望しました。

こういった質問をされた場合は、「”やりたいこと”が公務員でないと実現できない」ということに焦点を当てて回答するようにしましょう。

NG例のように、単に「今の会社ではできない」という回答だと、「他の民間企業ならできるのでは?」「NPO法人ならできるのでは?」と返されてしまうことがあります。

より説得力のある回答をするために、民間企業と公務員の仕事の違いについて、改めて理解を深めておくことが大切です。

仕事でトラブルが起きたときの対処法は?

無我夢中で目の前の仕事に取り組むようにしていました。
そういったときは、現状を整理してから、直属の上司に相談するようにしていました。
そうすれば、経験に基づいた的確なアドバイスをもらうことができ、素早く解決に導くことができると思ったからです。

どのような仕事においても、問題やトラブルは必ず発生します。

それを解決するためには、上司など社内の人に相談することが必要不可欠であり、一人で抱え込むことは望ましくありません。

「誰かに相談したこと」や「答えを聞き、自分がどのように対処したのか」を伝えることで、問題解決力やコミュニケーション力の高さをアピールすることが可能となります。

なぜ、新卒のとき(これまで)に公務員に就職しなかったのか?

新卒のときは、まだやりたいことが定まっておらず、漠然と就職先を探していました。
(1)新卒のときは、大学の専攻分野である○○に興味があったので、公務員ではなくその関連企業を中心に就職活動をしていました。
(2)実は、当時も受験をしたことがあります。
しかし、自分の力不足で残念ながら不合格となってしまったため、ご縁をいただいた企業に就職することにしました。

これは、公務員に就職したことがない場合に聞かれる質問です。

新卒の頃の話だけではなく、「なぜ、これまで公務員を目指さなかったのか(なぜ、このタイミングで公務員を目指したのか)」と言った聞かれ方をする場合もあります。

こういった質問の場合、NG例のような「何も考えていなかった」という回答は好ましくありませんので、「当時、新卒なりに考えて行動したこと」や「今、公務員を目指すようになったきっかけ」を伝えるようにしましょう。

もし、どうしても「何も考えていなかった」という方向性で回答したいのであれば、当時の自分を振り返って反省をしているという誠実な姿勢も併せて見せるようにしてください。

ちなみに、OK例(2)のような「当時、受験したが不合格だった」という回答は、一見マイナスに聞こえるかもしれませんが、何度も不合格になっているわけではないのであれば問題ありません。

ただし、「当時は、なぜ不合格だったと思うか」「なぜ、その後改めて受験しなかったのか」「当時の反省を今回の受験にどう活かしたのか」といった掘り下げた質問にも備えておくようにしましょう。

現職(前職)より給料が下がっても大丈夫か?

(1)正直、少し困るとは思っていますが、それでも公務員として働きたいので頑張ります。
(2)給与は関係なく公務員を志望しているので、大丈夫です。
給与については、事前に調べて承知のうえで公務員を志望しているので、大丈夫です。

民間企業経験者は、公務員への転職によって給与が下がる場合があります。

もちろん給料が下がらないに越したことはないですが、NG例(1)のように「下がって困る」という点を正直に伝えてしまうと「本当に公務員になりたいのか?」と疑問を持たれてしまいます。

また、NG例(2)のような「給与は関係ない」という回答も、一見模範的な回答のように見えますが、現実的ではない嘘くさい回答に見えてしまい、誠実さに欠ける印象があります。

給与については、きちんと「あらかじめ理解した上で受験していること」を説明することで、根拠のある「大丈夫」を伝えるようにしましょう。

転職のことは職場の人(家族)に話したか?

混乱を招くと思うので、職場の人には話していません。
引き継ぎのこともあるので、上司には話してあります。

この質問は、現在進行形で働いている場合に聞かれる質問で、職場の人だけではなく、身近な家族などに話したかどうかを聞かれるケースもあります。

こういった質問は、基本的には「すでに話している」と伝えるのが無難でしょう。

「話していない」というのは、「職場に迷惑がかかるのでは?」「相談できないような関係性なのか?」「きちんと退職できるのか?」と面接官から疑問を持たれてしまう可能性があるからです。

現実としては、最終的に公務員試験に受かるかどうかは分かりませんから、職場に伝えずにひっそりと転職活動をする人が多いかと思いますが、それについて面接の場ですべて正直に話す必要はありません。

「職場には話を通してある」=「円滑な人間関係を構築できる人材である」というアピールになり得ますので、その方向性で回答をまとめていくことをおすすめします。

もし、どうしても「話していない」という方向性で回答したいのであれば、面接官から疑問を持たれないような納得感のある回答を作り上げるようにしてください。

さらに合格率をUPするためには?

社会人が公務員試験の合格率を上げるには、面接対策がとても重要となりますが、実はその前段階として、合格率を上げる方法があります。

以下の2つのポイントを押さえ、試せるものはぜひ試してみてください。

1.社会人を積極的に採用している自治体に応募する

公務員の採用方針や採用方法は、自治体によって様々です。

近年は、主に学生が受験する「大卒(高卒)程度試験」以外に、「職務経験者採用」や「社会人採用」といった、民間企業経験者を積極的に採用する枠が増えてきています。

このような枠は、”勤務歴○年以上”といった条件があることがほとんどですが、逆に言えば、受験資格さえ満たしていれば誰でも受験することが可能です。

社会人採用の枠を設けているということは、自治体としても、民間企業で養ってきた知識や経験を活かせる人材を求めているということですから、そうした人材を積極的に採用している自治体に応募するというのは有効な方法と言えるでしょう。

自治体によって受験資格や試験内容は異なりますから、ホームページなどでしっかりと情報収集した上で、自分にマッチする自治体を受験してみることをおすすめします。

ちなみに、社会人を最も積極的に採用している自治体が東京23区、通称「特別区」です。
社会人受験生のほとんどが受験する自治体ですから、是非検討してみるといいでしょう。

特別区経験者採用の面接対策については下記の記事で紹介しています。

2.専門科目が課されない自治体に応募する

社会人の中には、学生と比べて「試験対策に充てられる時間が少ない」という悩みを持つ方は多いと思います。
そのような場合、筆記試験で専門科目が課されない自治体を受験することを強くおすすめします。

専門科目なしの筆記試験でよくあるのは、「教養科目のみ」「SPI試験のみ」「教養科目と論文(作文)のみ」といったものです。

専門科目とは、憲法や民法、政治学、経済学などといった専門的な分野の知識を問う試験のことで、大学の学部で学ぶレベルが想定されています。

これらの科目は、大学で一通り学んでいたならともかく、一から勉強するとなると対策にかなり多くの時間を費やさなくてはなりません。

「専門科目がない」というだけで、筆記試験対策にかける時間を大幅に減らし、その分必要な対策に時間を充てることができますから、社会人が受験するにはおすすめの試験方法と言えるでしょう。
(先述した社会人採用試験の場合は、専門科目がない場合がほとんどです。)

ただし、専門科目なしの試験の場合、筆記試験の通過率は高くなりますが、面接試験の倍率が上がることが多い点には注意が必要です。

こういった形の試験では、教養科目やSPI試験は足切り程度にしか使われず、論文試験や面接試験で一気に合格者を絞る傾向があります。

面接が得意な場合にはあまり問題にはなりませんが、面接が苦手な場合には、合格圏内に入るために人一倍面接対策に時間をかけていくことが重要になるでしょう。

まとめ

今回は、社会人向けの公務員試験の面接対策方法と注意すべきポイントについて紹介しました。

面接試験の対策は筆記試験のそれとは異なり、面接官との相性などの不確定要素が多く、どれだけ対策をしても「本番で100%の力を出しきれる」とは言い切れないのが怖いところです。

だからこそ、なるべく早い時期から少しずつ対策を始め、納得のいく結果を残せるよう時間を有効に使ってほしいと思います。

筆記対策も面接対策もしっかりと行いながら、公務員への転職を勝ち取りましょう。