市役所の面接カードの書き方を例文付きで分かりやすく解説!

公務員試験の面接対策をしていて、面接では話し方や表情を含めた見た目や好感度が大事だという話を見聞きしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?

実は同じように大切なのが、「面接カードの見た目」です。
なぜなら、面接官はまず面接カードを見て、これから対面する受験生を想像するからです。

例えば、雑に書いていると「雑なタイプなのかな」、質問の意味を取り違えていると「読解力が不足しているのかな」といった先入観を持たれてしまいます。

反対に、読みやすい文章や整った字で書いていれば「他人に気を配れるタイプなのかな」といった好印象につながることもあります。

しかし、多くの受験生は、面接カードやエントリーシートの書き方がイマイチであることが多いのが現状です。
もちろん、第三者から添削を受けることで、きっちり仕上げたものを提出するのであれば問題はありません。

多くの市役所では採用人数が絞られており、面接も複数回行われますから、この厳しく狭き門を通過するためにも、面接カードは完璧に仕上げてから提出するようにしましょう。

面接カードの4形式と書き方の注意点

市役所では、自治体によって面接カードの形式が大きく異なります。

例えば、よくある形式として以下の4つが挙げられます。

①罫線あり形式:項目ごとに罫線が引かれており、数行ずつ書くもの
②罫線なし形式:項目ごとにただの枠で囲まれており、数行ずつ書くもの
③エントリーシート形式:志望動機と自己PRを長文で書くもの
④特殊形式:項目が多いが、記入欄が狭いもの

これらの形式以外にもあるかもしれませんが、大きく分けると主にこの4つに分類できるかと思います。

一つ注意しておきたいのは、こうした面接カードの形式は、年度によって変更されることがある点です。
そのため、前年がこうだったからと決めつけずに、面接カードを受け取ってから迅速に見やすく分かりやすいカードに仕上げていく必要があることを忘れないでください。

ここからは、上記①~④の形式について、それぞれ注意点を見ていきましょう。

罫線あり形式の注意点

罫線ありの面接カードは、罫線に沿って文章を書くだけですから、誰でも見た目を綺麗に整えやすく一番書きやすいタイプと言えるでしょう。
しかし、誰もが書きやすいからこそ、以下の注意点は必ず押さえてほしいと思います。

(1)枠からはみ出さない
当たり前ですが、設定された枠外にはみ出してはいけません。
きちんと下書きで練習をしてから文字の間隔を掴み、枠内に収めましょう。

(2)意味のない改行をしない
文字・行数をかせぎたいからといって、意味のない改行をしてはいけません。
行の最後まで文字を埋めるようにしましょう。

(3)文字は少し大きめに、はっきり書く
面接カードは、コピーされて面接官の手元にいくことが多いため、文字が小さすぎたり筆圧が弱すぎたりすると、見えづらくなってしまうことがあります。
また、丸字や癖のある字は避け、とめ・はね・はらいを意識して丁寧に書くように意識しましょう。

(4)文字の間隔に余裕を持たせる
罫線の枠幅いっぱいに文字を埋めると、読みにくさを感じてしまうことがあります。
文字の上下・左右は少し余裕を持たせ、読みやすさを意識しましょう。

(5)文字の位置を上下でそろえる
文字の位置を上下でそろえるために、そこにマス目があると思って書くようにしてください。
もし1行目で30字書いたのであれば、2行目以降も1行目の文字の位置に合わせて30字で書いていくということです。
記号や漢字・ひらがな等の表記によっては、上の行とそろえると文字の位置が空きすぎて変になってしまうことがあるので、その場合は臨機応変に文字を詰めて綺麗な見た目となるよう意識しましょう。

罫線なし形式の注意点

公務員試験の面接カードは、この形式がとても多い傾向にあります。
この形式は罫線がない分、字のバランスが取りにくく、綺麗に書けていないとパッと見の印象が悪くなりやすいため注意が必要です。

特に、以下の点に注意しましょう。

(1)文字は少し大きめに、はっきり書く
「罫線あり形式」と同様です。
面接カードの用紙サイズにもよりますが、1行が35字を超えてくると、文字がぎゅうぎゅう詰めで読みにくさを感じることが多いです。

(2)各行の文末をそろえる
文末がそろっていないと、雑な印象を持たれてしまいます。
罫線なし形式の場合、各行で最後の文字の位置がバラバラになってしまうことが非常に多いです。

(3)鉛筆で薄く罫線を引き、清書が終わったら綺麗に消す
罫線がない形式は書きにくいですから、自分で薄く罫線を作ってしまうというのが良いでしょう。
特に、文字が右上がりになりやすい方は、行ごと斜めにズレないように罫線を書いておくことをおすすめします。
ただしその場合は、最後に罫線を消す際にペンがにじまないよう気を付けてください。
面接カードが薄い用紙の場合には、下に罫線を引いた用紙を敷いて書くのも良いかと思います。

エントリーシート形式の注意点

エントリーシート形式は、「罫線あり形式」か「罫線なし形式」となることが多いので、そちらの注意点を確認しておいてください。

特殊形式の注意点

この形式は項目が多い分、他の受験生との書き方の差が顕著に出やすいため注意が必要です。また、この形式は「罫線なし形式」となることも多いです。

(1)文字の大きさをそろえる
すべての項目について、文字の大きさをそろえましょう。
ただし、箇条書きで書くような欄については、多少大きめの文字でも構いません。

(2)基本は空欄を作らない
項目が多いと、記入する内容がない場合があります(例:留学歴など)。
記入することがないからといって空欄にしておくと、書き忘れたのか「無し」という意味なのかが不明瞭です。
記入方法に特段指示がない場合には、該当しない項目は「特になし」などと記載するようにしましょう。

(3)主張したいことを厳選する
特に志望動機や自己PRなど、ある程度の文字数が必要なものは注意してください。
記入欄が狭い分、内容が抽象的にならざるを得ないかと思いますが、面接官もそれは分かっているので気にしなくても大丈夫です。
核となるアピールポイントを厳選しましょう。

その他の注意点については、「罫線なし形式」の注意点を確認しておいてください。

文章における基本の注意点4つ

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次は、文章を書く上で必ず押さえておくべき基本について紹介します。

丁寧に書く

「文字を丁寧に書く」というのは、当たり前のようで、当たり前にできていない受験生が意外と多いものです。
字が綺麗に書けないという人もいるかもしれませんが、「字の綺麗さ」と「字の丁寧さ」は必ずしもイコールではありません。

もちろん、字の丁寧さが面接の評価に大きな影響を与えるわけではありませんが、「雑に書かれている」というだけで、当然良い印象は持ちません。

面接カードは、あなたの評価を下す面接官に見られる資料ですから、とにかく丁寧に書くことを意識しましょう。
もちろん、誤字脱字にも要注意です。

「です・ます調」で統一する

論文などでは「だ・である調」が一般的かと思いますが、面接カードでは「です・ます調」で書くことを推奨します。
実際、ほとんどの受験生は「です・ます調」で書いています。

もちろん、「だ・である調」で面接カードを仕上げて上位で合格している方もいるため、「だ・である調」で書いたからといって必ず不合格となるわけではありません。

しかし、「だ・である調」で合格した受験生は、他の受験生と比べて面接全体のクオリティがとても高い傾向にあります。
話す内容だけではなく、表情や話し方などの細かな面まで好印象を与えられているなという印象がありました。

つまり、このような例外的な受験生ではなく、一般的な受験生を想定するのであれば、無難に「です・ます調」で書く方がおすすめです。

また、市役所職員は丁寧な住民対応が求められる仕事ですから、「です・ます調」で丁寧な雰囲気を出していく方が好ましいでしょう。

注意点としては、「だ・である調」と「です・ます調」を混合させないことです。
面接官を担当する人は、管理職の職員です。
日頃から部下の文書を細かく見ている人ですから、文章の形式は必ずそろえて違和感を持たせないようにしましょう。

体言止めは使わない

「体言止め」とは、最後の語句を体言(名詞・名詞句)で終わらせる表現法のことです。

特に志望動機や自己PRの部分で目立つのですが、「~です。」と途中まで書いているのに、いきなり「~であること」「~した経験」という風に体言止めで書いてしまう受験生が少なくありません。
しかし、これは違和感以外の何ものでもありません。

文章は「です・ます調」でそろえ、体言止めは使わないようにしましょう。
ただし、例えば趣味などを箇条書きで書く場合などは、その限りではありません。

1文の長さに気を付ける

1文の文字数は、20~40字程度が読みやすいと言われており、これ以上の文字数となる場合には注意が必要です。

1文の文字数が増えれば増えるほど、人は読みにくさを感じるようになり、その内容を正しく理解してもらえない可能性が出てきてしまうからです。

特に、面接官は一日に何人もの受験生の面接カードを読んでいます。
わざわざ読み返さなくても一度で理解できるよう、誰もが読みやすい文章を作ることはとても大切です。
なるべくシンプルな文章を心がけ、適切な長さで区切ることを意識しましょう。

面接カードでよく聞かれる項目の注意点と記入例

次に、面接カードでよく聞かれる項目の注意点について見ていきましょう。

志望動機・興味のある仕事(分野)

志望動機や興味のある仕事については、特に書き方の決まりはありませんが、以下の内容について記載するようにしましょう。

①その市を志望するようになったきっかけ
②その市の政策や取組で共感したことや興味を持ったこと
③採用後にやりたい仕事

面接カードの記入欄が狭い場合には、①は省略しても問題ありません。

熱意を伝えるために重要なポイントは、自治体の政策や取組について調べたことや街歩きをして感じたこと、実際に職員から聞いたことなど、自分ならではのオリジナルストーリーを入れ込んでいくことです。

例えば、以下のような例文を参考にしてみてください。

(例1)
私は、住民に最も身近なところで△△に携わりたいと考え、○○市を志望しました。私は△△に興味があり、調べていく中で〇〇市が△△に力を入れていることを知り、住民目線の取組に魅力を感じました。私も職員として△△に携わり、支援を必要とする人々の力になりたいと考えています。
(例2)
私が〇〇市を志望する理由は2つあります。第一に、地元である〇〇市の発展に尽力していきたいと考えたからです。~~(地元で働きたい理由を述べる)。第二に、○○市で△△支援に携わりたいと考えたからです。現在、〇〇市では重点施策として△△が積極的に行われており、今後地域を拡大して取り組んでいくことが求められていると認識しています。私も△△にぜひ携わりたいと思い、○○市を志望しました。

例1・2では文章の書き方は異なるものの、どちらもオリジナルストーリーが組み込まれていることが分かるかと思います。
これはよくある書き方のため、文章を作ることが苦手な方は、まず例文のような構成で作成してみることをおすすめします。

なお、公務員試験における志望動機の考え方については下記の記事でも解説しています。

長所・短所

長所・短所については、それぞれ根拠となる具体的なエピソードも添えるようにしましょう。
ただ、記入欄が狭い場合には、エピソードまで無理に書く必要はありません。

短所について注意する点としては、短所を書いて終わりとするのではなく、その短所を改善するためにしていることなどを併せて記載することです。
自分なりに短所と向き合っている様子を見せることで、好印象へとつなげていきましょう。

長所(例)
・真面目なところ:学生時代はコツコツと勉強に励み、目標としていた難関大学への入学や難関資格を取得することができました。
短所(例)
・細かすぎてしまうところ:細かいこだわりによって周囲に迷惑をかけないよう、気にしすぎないことを常に意識しています。

ガクチカ(学生時代に力を入れて取り組んだこと)

学生時代に力を入れて取り組んだことについては、以下の内容について記載するようにしましょう。

①力を入れて取り組んだエピソード(サークル活動、アルバイト等)
②その経験からどんな強みが培われたか(「〇〇力」等)
③その強みを市役所でどう活かせそうか

面接カードの記入欄が狭い場合には、③は省略しても問題ありません。

よくある間違いは、エピソードや強みをいくつも書いてしまうことです。
自分のことをアピールしたいが故に、あれもこれもとなってしまう受験生が非常に多いのですが、初めて見聞きする面接官からすると複雑で分かりにくい印象を持たれがちです。

特に面接カードに記載するものについては、最もアピールしたいものだけに絞り、可能な限りシンプルな内容にしていくことを意識しましょう。
ただし、本番の面接では「他にエピソード(または強み)はあるか?」と聞かれる場合もあるため、サブのものも用意はしておいてください。

そして、①~③は必ず一貫性を持たせることを意識し、説得力のある説明にすることも大切です。

(例)
学生時代に力を入れて取り組んだことは、○○部の活動において、大会でベスト8に入った経験です。○○部では、毎年あと一歩のところでベスト8入りを逃しており、部として大きな目標となっていました。私は大学4年生で副部長になり、チーム一丸となって目標を達成するために、幹部で目標に向けた改善点の洗い出しを提案し、部内に共有する役割を担いました。そして、コーチやOB、学生課にも協力を仰ぎ、練習内容の見直しや練習時間の確保を徹底しました。この結果、目標としていたベスト8入りを達成することができました。私はこの経験から「実行力」を養うことができたと実感しており、この強みを△△市の課題解決にも活かすことができると考えます。

ゼミ・卒業論文

面接では、サークル活動やアルバイトなどをアピールすることが多いかと思いますが、学業についても記載する欄はありますから、説明できるようにしておかなくてはなりません。

学業面でよく聞かれるのは、ゼミの活動内容や卒業論文のテーマ、学部(専攻)で学んだことなどです。
ゼミに所属していない場合には、専攻している学問や学んだことについて説明できるようにしておきましょう。

(例)
卒業論文は「SNSがメンタルヘルスに及ぼす影響」というテーマをもとに、〇〇の△△調査などをしながら現在研究を深めています。

最近関心を持ったこと

最近関心を持ったことに関しては、特段指示がない場合には社会事情に関することを念頭に置いた回答を書くと良いでしょう。
テレビや新聞、ネットなどの全国的なニュースでも構いませんし、その市特有のニュースや重点施策、近隣自治体に関するトピックでも良いです。

この質問は、職員として必要な資質である日頃から社会に目を向ける姿勢を見られていますので、自分なりに社会事情について複数の情報を集めておくことが大切です。

特に、以下の内容については補足説明できるようにしておきましょう。

①なぜそのニュースやトピックに関心を持ったのか
②そのニュースやトピックについてどう思うか(意見)

趣味・特技

趣味・特技については、面接で必ず触れられるわけではありませんが、書き方によっては深掘りされることもあります。

特に、他の受験生とは一味違う趣味や特技を持っていたり、何らかの実績を持っていたりする場合は、積極的に記入してアピールにつなげていきましょう。
アピールできるものがない場合でも、空欄にはせずに何かしら記入はしてください。

(例)
趣味:筋トレ(フィジーク大会出場)

資格・免許・検定

資格や免許については、公的資格を書くのが一般的です。
趣味に関する資格を持っている場合には、趣味・特技の欄に書きましょう。

(例)
TOEIC850点 ◯年△月取得
普通自動車第一種運転免許 ◯年△月取得
中学校教諭一種免許状(英語) ◯年△月取得

また、基本的には正式名称で書くことになりますが、正式名称が長い場合には以下のように省略しても構いません。

(例)
「日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験」※正式名称

「日商簿記検定試験2級」

地元愛を志望動機に入れるのはNG?

市役所を目指す方の中で、「地元である〇〇市に貢献したい」というフレーズを使う受験生は数多くいますが、この表現をNGとする予備校や講師は少なくないようです。

おそらく、多くの受験生がこのフレーズを使っていることで、他の受験生との差別化が図りにくいことが大きな理由かと思います。

しかし、このフレーズを使うこと自体は全く問題ないと考えます。

基礎自治体を志望する人が純粋に「地元の市役所で働きたい」と考えることは自然なことですし、逆に地元を志望しているのに全く地元愛について触れない方が不自然にも思えるからです。
それに、実際にこれまで多くの受験生がこのフレーズを使用し、きちんと合格を果たしています。

ですから、地元を志望する場合には、このようなフレーズを入れても問題はないと認識いただければと思います。

ただし、地元愛を出す際には、以下のような使い方は避けるようにしてください。

・志望動機が地元愛だけ
→その市の政策や取組で共感したことや興味を持ったことについても言及すること
・地元の魅力について長々と書く
→ただの「地元の説明」とならないよう、あくまでも志望動機の「きっかけ」程度に留めること

まとめ

今回は、面接カードの書き方について解説しました。
市役所は倍率が高いですから、細かい文章の書き方にもしっかり気を配り、万全な準備をして他の受験生と差をつけましょう。

市役所の志望動機の書き方と作り方については下記の記事でも紹介していますので、市役所を受験する方はそちらも併せてご活用ください。