特別区経験者採用の面接対策!よくある質問はコレだ!

特別区経験者採用試験は、1次試験で筆記、2次試験で個別面接が課されます。
その後、各区の面接を経て合格できれば内定となるわけですが、まずは2次試験の面接を合格しなければなりません。

特別区人事委員会は試験の配点を公表していませんが、過去の合格者を見ていると、面接の配点は大きいと考えられます。
配点の大きい面接で合格を果たすためには、特別区経験者採用試験の特徴を理解し、しっかりとそれに合わせた対策を行うことが重要となります。

今回は、特別区経験者採用試験における2次(面接)試験の対策方法について紹介していきますので、特別区経験者採用試験の受験生はぜひ参考にしてください。

ちなみに、下記の記事では「特別区経験者採用のおすすめ予備校」について解説していますので、予備校選びで悩んでいる方はご覧ください。

採用までの流れ

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まず、特別区採用試験の採用までの流れは下記の通りです。

①受験申込(出願)
②第1次試験(筆記試験)
③第2次試験(面接試験)※通称「人事委員会面接」
・この面接で合格すると「最終合格」となり「採用候補者名簿」に掲載される
※まだ内定ではない
・各区から区面接の連絡が来る
※希望区から連絡が来るとは限らない
④各区での面接試験 ※通称「区面接」
・面接形式は各区ごとに異なる(個別面接、グループワークなど)
⑤内定・採用
・各区から合格の連絡が来ると内定となる

特別区においては、筆記試験の後に2回の面接試験を突破して初めて内定となります。
2次試験に合格すると「最終合格」と言われる状態にはなりますが、その後の区面接で合格しないと、特別区職員として働くことはできません。
※2級職を除きます。

この記事では、③2次試験(人事委員会面接)について主に解説しています。
区面接は、各区の独自で行われる面接試験であることもあり、個別面接のところもあればグループワークを課すところもあり、その内容はバラバラです。

まずは人事委員会面接の特徴をしっかり押さえ、確実に突破できるように理解を深めておきましょう。

面接会場・日程

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特別区の2次試験は、「大田区産業プラザPio」というイベントホールで行われます。

【例年】
会場:大田区産業プラザPio 1階大展示ホール
アクセス:京急蒲田駅より徒歩約3分/JR蒲田駅より徒歩約13分

例年、面接試験は以下の日程です。

経験者・氷河期
2次試験日程 10月末~11月上旬の土日祝
※2023年度は10 月 28 日(土)、29 日(日)、11 月 3 日(金)、4 日(土)、5 日(日)のうち指定された 1 日

※区面接は、2次試験の最終合格発表後に順次行われます。

2次試験の会場は例年、「大田区産業プラザPio」です。
(令和3年度・4年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、都内のホテルにて開催されました。)

大展示ホールは体育館のような見た目で、そこにブースがずらっと並んでおり、受験生が一斉に入室して面接を受ける流れになります。

最寄り駅は「京急蒲田駅」と「JR蒲田駅」がありますが、大田区産業プラザPioの交通アクセスに写真入りのナビゲーションがあるので、確認しておきましょう。

面接の時間はランダムなので、受験生が候補日や時間を選択することはできません。
面接は土日祝になるので、土日が仕事の場合は早めに有給等で休みを確保しておきましょう。

面接当日の流れ

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続いて、面接当日の流れを確認しておきましょう。

【2次試験当日の流れ】

①集合時間までに会場に到着する
②1階で受付する
・会場入口に入るとすぐ受付があります。
・当日の流れが記載された用紙を渡されます。
③控室に案内される
・自分の受験番号の席に着席し、指定の時間まで控室で待機します。
④面接場所に移動する
・時間になってスタッフから声がかかったら、ホールに移動します。
※グループごとに受験生がまとめて呼ばれるので、後の方のグループの場合はもうしばらく待機することになります。
⑤面接ブースの前で待機する
・自分の面接ブースの入口で待機します。
⑥面接開始
・面接開始のアナウンスがあったら、一斉にブースに入場します。
・面接官は3人で、各区の管理職が務めます。
・試験時間は40分です。
※グループごとに時間が決まっているため、試験時間が大幅に増減することはありません。
・簡単なアイスブレイク→面接という流れで行われます。
⑦面接終了
・面接官から終了の合図があったら、退出します。
・面接が終了したブースから帰宅します。

「ブース」とは、パーテーションで区切られた簡易的な空間です。
この中で面接を行いますが、パーテーションで区切られただけの空間ですので、隣の面接の声も聞こえてきます。
場合によっては、面接官の声が聞き取りづらかったり、自分の声がかき消されたりするかもしれませんので、周囲に気を取られずに目の前の面接官の声によく耳を傾け、いつも以上に大きな声でハキハキを話すことを意識しましょう。

大展示ホールとブースについては、公式サイト上に画像が掲載されていますので、参考に見てみてください。

また、面接時間は40分ですが、一般的な公務員試験と比較すると長い方です。
そのため、どのような深掘りにも耐えられるように、しっかりと受け答えの練習をしておく必要があります。

また、面接は、事前に提出した職務経歴書に沿って進んでいく場合が多いですが、人によって聞かれる内容や質問数は異なるので、職務経歴書以外のことについても答えられるようにしておきましょう。

面接の特徴

コンピテンシー評価型面接

特別区経験者採用の面接試験は、コンピテンシー評価型面接と言われており、Ⅰ類採用試験などと同様です。

コンピテンシーとは、高い成果を出す人物に共通して見られる能力や行動特性のことです。
従来の面接手法は、用意された質問をただ投げかけるだけのため、受験生にとっても対策しやすく、本当に成果を上げられる人材を見抜きづらいというデメリットがありました。

それをコンピテンシー評価型面接にすることで、あなたの行動特性を見極め、求める人材に合致するかどうかを評価することができるようになるということです。
大手企業でもこの面接手法を採用しているところは多々あり、合理的な手法の1つと言えます。

受験生の書く自己PRには似たようなものが多々ありますが、コンピテンシー評価型とすることで、受験生それぞれの行動特性が見極めることができます。

例えば、面接の質問に回答した後、その回答に対してさらに理由や状況について深く突っ込まれる場面があると思います。
その「深掘り」がコンピテンシーの核となる部分です。

そのため、面接対策を進めるときには、準備した回答に対して「なぜこの行動をとったのか?」「なぜこう考えたのか?」「それによって何を得たのか?」というように、深掘りをしながら自問自答していく作業がとても重要になります。

特に経験者採用の場合は、これまでの職務上の経験について深掘りされることになりますので、職務ごとにまとめていく必要があります。

「結果よりも過程に重きを置かれている」ということをしっかり理解し、エピソードを整理していきましょう。

そして、この面接手法により、面接では「あなたが経験したオリジナルのエピソード」に基づいて話していくことになるため、嘘をついたり、話を盛りすぎたりすることはやめましょう。

コンピテンシーレベルとは?

コンピテンシーレベルとは、行動特性を以下の5段階に分類したものを指します。

レベル1.受動行動
周囲に言われてからする行動
レベル2.通常行動
与えられた仕事をミスなくこなす行動
レベル3.能動行動
目標に向かって自ら積極的に取り組む行動

レベル4.創造行動
主体的に自ら課題を見つけてする行動

レベル5.パラダイム転換行動
新たな発想やアイデアで周囲の状況を変えるような行動

特別区のコンピテンシー評価型面接においては、レベル5を目指すのが良いでしょう。
なぜなら、「特別区が求める人物像」とリンクするからです。

特別区が求める人材像
特別区は「自ら考え行動する人材」を求めています。

・聴くあなた
人の思いを理解し、誠実に[聴く]。そうして、自分のことのようにまっすぐ向き合う。そんなあなたを求めます。

・学ぶあなた
向上心を持って、自ら[学ぶ]。そうして、自分を磨き、人として成長していく。そんなあなたを求めます。

・考えるあなた
想像力、そして創造力豊かに、人々が笑顔になるための方法を[考える]。そうして、「私は、こう考えます」とポジティブに表現できる。そんなあなたを求めます。

・行動するあなた
チャレンジする気持ちを忘れず、周りに働きかけて[行動する]。そうして、チームの中で自分の役割を果たしていく。そんなあなたを求めます。

『特別区人事委員会採用試験情報』http://www.union.tokyo23city.lg.jp/saiyo/2022/about.html

特別区では、「自ら考え行動する人材」を求めていますから、それに合致するようなエピソードを準備しておく必要があります。

職務経歴書への記載や面接で実際に話すエピソードにおいて、4つの要素をすべて入れ込む必要はありませんが、これらの要素を念頭に置いた内容とすることは意識しておくようにしましょう。

職務経歴書の特徴

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特別区経験者採用で提出する「職務経歴書」は、受験申込(出願)の際に提出するものになります(インターネット申込)。
1次試験(筆記試験)を受ける前に提出することになるため、だいぶ早い段階で内容を固めておかなくてはならない点に注意しましょう。

よくあるのが、申込時に深く考えずに内容を決めて提出してしまうケースです。
出願時から2次試験まで日程がかなり空くので、面接が近くなってから「こう書けばよかった…」と後悔する受験生がこれまでたくさんいました。

そうならないために、最低でも申込の1か月前には自治体研究や自己分析、職務経歴などを整理し、自分はどのような方向性で面接に挑むのか対策を進めておきましょう。

そして、1次試験を突破できた受験生のみが、この職務経歴書を用いた面接を受けることができます。
この書類の内容に沿って面接が進んでいくことになりますので、クオリティの高いものを作り上げなくてはなりません。

設問項目

職務経歴書の設問項目は、下記の通りです(年度によって変更となる場合があります)。

【経験者採用】(2023年度)

①[全区分共通]あなたが特別区職員を志望する理由を、あなたのこれまでの職務経験や専門知識を踏まえ、携わりたい職務と、その職務を通じて実現したいことを交えて入力してください。(320字以内)②[全区分共通]あなたが、特別区が求める「自ら考え行動する人材」に当てはまる人物であることを、今までの職務経験をもとに記入してください。(320字以内)③[全区分共通]今までの職務経験の中で失敗の許されない状況に直面した際、それをどのように解決に導いたか記入してください。(320字以内)④[1級職のみ]今までの職務経験の中で、あなたがチーム(組織)として達成したことを、あなたのチームにおける役割や、どのようにチームに貢献したかを交えて記入してください。(320字以内)

⑤[2級職・3級職のみ]今までの職務経験の中で、あなたが部下や後輩の指導・育成にあたった際、最も重視した点を記入してください。(320字以内)

経験者採用は、全部で4項目です。
1級職は①②③④、2級職・3級職は①②③⑤の4項目となりますのでご注意ください。

記入時の注意点

職務経歴書を記入するときの注意点として、守ってほしいことを2つに絞ってご説明します。

①結論から書く

まずは、結論から書くことです。
これは一般的によく言われていることですが、できていない受験生が本当に毎年たくさんいるのです。

例えば、面接試験でも「志望理由を教えてください」という質問に対し、以下のような回答をする方がいます。

「私は~~~~で、これまで~~~~~してきました。また、~~~~~の経験から、~~~~~にやりがいを感じました。それらの理由から、~~~~~に興味を持ち、○○市を志望しました。」

この回答だと、先に理由や状況説明があった上で、最後に志望理由がきています。

これの何が悪いのかと言えば、結論が始めの方に出てこないので、話が長くなる(長く感じやすい)のです。
職務経歴書でも、「で、結局のところ何が言いたいのか?」と思わざるを得ないものがたくさんあります。
最悪の場合、質問に答えられていないと判断されてしまいかねません。

公務員として働くにあたって、簡潔明瞭に伝えることは非常に大切なことですから、特に結論から述べるということは意識してほしいと思います。

②分かりやすく書く

次に、誰が読んでも分かるように書くことです。

面接官は、あなたのこれまでの経験を何も知らない初対面の人です。
一日にたくさんの受験生の職務経歴書を読みますから、分かりにくい内容では読んでいて疲れますし、公務員に必要な文章作成能力が低いと判断されてしまいかねません。

そのため、職務経歴書を作成したらそのまま提出するのではなく、必ず第三者に読んでもらい(場合によっては添削してもらい)、分かりにくい単語や表現を使っていないか確認してもらうことが必要です。

自分では分かりやすいように書いたつもりでも、内容を詰め込み過ぎていたり、専門用語を使っていたりする場合がありますから、自分の判断だけで終わらせないようにしましょう。

また、他の受験生にはないようなインパクトのある経験が盛り込めれば、記憶にも残りやすく、プラスの評価もされやすいでしょうから、分かりやすさだけではなく、エピソードの質にもこだわりましょう。

面接の対策方法

特別区経験者採用試験の2次試験は、個別面接の40分間で決まります。
そのため、どのような質問をされるのか事前に調べておくことがとても大切です。

面接で主に聞かれるのは、下記のものです。

・アイスブレイク
・事例問題(2級職のみ)
・職務経歴書に沿った質問(志望動機・
職務経験等)
・特別区に関すること など
アイスブレイクと事例問題は最初の方に聞かれますが、それ以外はこの順番で聞かれるとは限りません。
例えば、職務経験や志望動機を織り交ぜながら聞かれることもあるので注意しましょう。

アイスブレイク

まず、最初に簡単なアイスブレイクがあります。

・緊張しているか?
・今日は会場までどのくらいかかったか?
・ご飯は食べてきたか?
・面接まで何を考えていたか?
といった質問があります。
面接でいきなり本題に入ると緊張してしまうため、緊張をときほぐすために行われます。
コミュニケーションをとりやすい雰囲気を作るために聞いてくれているので、あまり深く考えて回答する必要はありません。
ただ、アイスブレイクはあなたの第一印象が決まる部分でもありますので、ハキハキと自信をもって回答することを意識しましょう。

事例問題(2級職のみ)

2級職の場合は、アイスブレイクのあとに事例問題が出題されます。
主任として採用されることになるため、即戦力として成果を出せるかを見られています。

事例問題は、実際に実務で発生し得るシチュエーションが書かれた紙をその場で1分程度で読み、主任としてどう対応すべきかを即興で回答するというものです。
そこそこ長文のため、回答までじっくり考える時間がない点には注意しなければなりません。

そのため、日頃の仕事の中で「どういう課題があるか」「どう行動すべきか」など、理由づけて考えるクセをつけ、即座に回答する訓練をしておきましょう。

職務経歴書に沿った質問

いよいよ面接の本題に入ります。

ここで一番気を付けたい点としては、職務経歴書と実際に話している内容に矛盾が生じないようにすることです。
面接官は職務経歴書をもとに面接を行っていきますので、書いていることと話が違うと、一貫性に欠けると判断されてしまいます。

そのため、面接までに自分が提出した職務経歴書を読み込み、想定される質問に対する答えを徹底的に準備しておかなくてはなりません。

職務経歴書から自分で想定する質問と、第三者が想定する質問とでは視点が異なるため、必ず模擬面接などを受けて第三者に確認してもらうことが必要です。
両親や友人など、まずは身近な人に読んでもらうのも良いでしょう。

そして、過去の受験生の話を聞いてみると、面接官によって質問の内容は大きく異なることが分かっています。
例えば、同じような質問を複数の面接官からされることもあれば、かなり具体性のある質問をしてくる面接官もいます。
また、終始和やかな雰囲気で進む場合もあれば、圧迫ぎみに淡々と進む場合もあります。

どんな面接官にあたるかは完全に運ですから、どんな面接官にあたってもスムーズに受け答えができるように徹底的に対策しておくことが重要です。

志望動機

志望動機の部分では、主に以下のような質問をされることが多いでしょう。

・公務員を志望する理由
・地方公務員を志望する理由
・特別区を志望する理由
・転職をしようと思ったきっかけ

・他の自治体や民間企業の志願状況 など

志望動機については、これまでの職務経験とも絡んでくると思いますので、織り交ぜて説明しても問題ありません。

「他の地方都市の公務員でもいいのではないか」「国家公務員の方があなたのやりたいことができるのではないか」等と面接官に思わせてしまうのはマイナスですから、「特別区職員になりたい理由」について説得力を持って説明する必要があります。

また、1級職の場合は、過去に3分間プレゼンテーションのようなものを求められたこともあったようです。
3分間プレゼンテーションとは、本来特別区Ⅰ類(大卒程度試験)で課されているもので、面接の冒頭に自己PR・志望動機・やりたいことを交えて3分間でプレゼンするというものです。

社会人でいきなり求められることは非常に稀ですが、志望動機や職務経歴に関するキーワードを覚えて「何を話すか」だけは準備しておき、仮に聞かれても慌てずに話せるようにしておきましょう。

職務経験

面接官は特別区の職員であり、専門的なスキルを持った人ばかりではありません。
そのため、自分の職務経験について話す際は、その業界を知らない素人にも分かりやすい言葉選びをする必要があります。

また、職務経験は、直近の仕事についてのみ聞かれるわけではありません。
職務経歴書に記載した、学生を卒業してから現在の仕事までのすべての職務経験について聞かれる可能性があるため、これまでの自分の経歴をスラスラと説明できるようにしておきましょう。

職務経験の質問では、主に以下のような質問をされることがあります。

・現在の職務内容を簡単に説明してほしい
・現職ではどのようなポジションか?

・なぜ前職から現職に転職しようと思ったのか?
・これまでの仕事で行政との関わりはあったか?

・これまでの職務経験で一番大変だったことは何か?

具体的な数字を挙げて説明を求められることもありますので、職務経歴書の内容に関連する数字等は暗記し、すぐに提示できるようにしておきましょう。

また、転職回数が複数ある方は、一つひとつ転職理由を聞かれることもあります。
転職のたびに業界が変わっていれば尚更ですから、職歴の整理もあわせてしておきましょう。

そして、今までに複数のキャリアを経験していたり、出向の経験があったりする方は、その経緯等について説明を求められることもあります。
これまでのポジションの変更等についても説明できるようにしておくと安心です。

特別区に関すること

その他にも、特別区に関する様々な事柄を聞かれることがあります。

・特別区の魅力は何か?
・特別区が抱えている課題は何か?
・その課題を解決するために何かアイディアはあるか?

・特別区の施策の中で興味を持ったものは何か?
・○○分野に興味を持ったきっかけは何か?
・区役所の改善点はあるか?

・区のイベントに参加したことはあるか?
・ふるさと納税についてどう思うか?
・児童虐待について区はどう取り組むべきか?

志望動機に絡む内容や特別区の政策、時事的な内容など、様々な事柄が聞かれます。
一見難しく見えるかもしれませんが、これまで行ってきた課題式論文の対策と被る部分も多いですから、論文対策のテキスト等を復習しておきましょう。

よく聞かれる質問

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頻出3パターン

面接対策をする上で一番重要なのは、”想定外の質問”を可能な限り減らすことです。

緊張している中、自分が対策していない質問をいきなり投げかけられたら、どんなに優秀な方でもあたふたしてしまうのは当然です。
そうならないためには、”想定外”を極力なくしていかなければなりません。

そこで、過去の受験生の体験談をもとに、特別区の面接試験の頻出質問パターン3つをピックアップしました。
面接を有利に進めるためにも、まずはこの3つをしっかり対策していきましょう。

頻出する質問を把握するには、「特別区がコンピテンシー評価型面接を採用している」ということに注目すべきです。
先述の通り、コンピテンシー面接は、高い成果を出す人物に共通して見られる能力や行動特性のことです。

行動特性を見るには、成果だけではなく、なぜその成果が得られたのかという過程に注目していることがほとんどです。
そして、過程に注目するには、以下のような質問によって深掘りされていくことになります。

①「なぜ?」

面接官はあなたの行動に対して、理由を聞いて深掘りしてきます。

例えば、職場で自ら考えて行動した経験に対して「なぜそれをしようと思ったのか?」と聞かれることがあるでしょう。
「業務改善のため」「部下の育成のため」など様々な理由があると思いますが、面接官はこの追求をすることで、あなたの普段の考え方や行動指針を確認しています。

特に、職務経歴書に書いたエピソードについては聞かれる可能性が高いため、あなたがとった一つひとつの行動について「なぜ?」と自問を繰り返し、当時の自分の行動を振り返って整理しておいてください。

②「どのように?」

「どのように?」というのは、あなたがとった行動の具体的な方法について聞いています。

例えば、職場で目標の売上を達成した経験に対して「どのように達成したのか?」と聞かれることがあります。
曖昧な回答は高評価にはつながりませんから、準備したエピソードについては可能な限り具体的に話せるようにしておくようにしましょう。

また、この追求は、あなたの用意した回答の真偽を確かめる方法としても用いられています。

例えば、自分をよりよく見せるために、時には話を盛ったりすることもあるでしょう。
それ自体が悪いという話ではなく、仮に事実と話を変えているのであれば、それを一切悟られないように話せるようにしておかなければなりません。

話が矛盾していると「嘘をついているのでは?」と疑念を持たれてしまいますから、注意してください。

③「他には?」

特別区の面接においては、この「他には?」という質問がとても多いと言われています。
特に特別区経験者採用の場合には、40分という長い面接時間であることもあり、深掘りする時間がたっぷりあります。

例えば、職務経歴書のエピソードには一切触れずに、「職務経歴書に書いたエピソード以外でチームで達成したことはありますか?」といきなり聞かれることがあります。

1つの回答しか準備していないと詰まってしまいますから、エピソードは全部で3つほど準備しておくと良いでしょう。
また、職歴が複数ある方は、各会社におけるエピソードを1つは準備しておくと安心です。

コンピテンシー評価型面接は「行動特性」を見ているため、「複数のケースで同じような行動をしている」という事実が欲しいのです。
1つの回答だけだと、たまたまその行動に至ったということも考えられるため、面接官は複数の回答を求めてきます。

ただ、すべての想定質問に対して3つの回答を用意しておくのは大変ですから、まずは職務経歴書の設問1(志望動機云々)以外の項目について、追加のエピソードを1~2つずつ準備しておくと良いでしょう。

方向性が決まっているパターン

一般に、公務員試験の面接においては、”ある程度回答の方向性が決まっている質問”があります。
先述した「なぜ?」「どのように?」などといった質問は、一人ひとりの人生経験が異なる以上、基本的には同じ回答にはなりません。

しかし、よくある質問の中には、誰に聞いてもある程度同じような回答が返ってくる質問があります。
具体的には、下記のような質問です。

上司と意見が食い違ったらどうしますか?
・採用されたら本当にうちに来てくれますか?
・希望の部署に配属になるとは限りませんが大丈夫ですか?

面接試験の回答に正解はありませんから、「こういった質問にはこう答えなければならない」というわけではありません。

しかし、例えば上記の「上司と意見が食い違ったらどうしますか?」という質問を投げかけられたとき、「それでも自分の意見を伝えて説得します」や「自分は折れて上司の意見を採用します」と回答する受験生は少ないのではないのでしょうか。

多くの受験生が、自分だけが主張をしすぎることなく、相手の意見をただ受け入れるわけでもなく、「お互いの意見をかわす」「相手の意見も聞く」といった方向性の回答をすることと思います。

また、「採用されたら本当にうちに来てくれますか?」と聞かれて、「併願しているのでまだ分かりません」と答える人もまずいないでしょう。

このように、自分のコミュニケーション能力や意欲を示せる質問においては、ある程度求められている回答に沿った回答をする人が好まれます。
あなたの本気度を確かめられているということですから、しっかり本気度をアピールしましょう。
もし回答に迷ったら、「この回答で”この人と働きたい”と思ってもらえるだろうか?」という視点で考えてみてください。

職務経歴書のエピソードがどんなに良くても、これらの質問に疑問を持たれるような回答をしてしまっては不合格になってしまいますから、回答の方向性を固めてしっかり準備しておきましょう。

まとめ

特別区経験者採用試験の配点は面接が重視されており、筆記試験の点数が良くても、面接試験の結果次第では合否に大きく影響します。

面接対策は自己分析、職務経歴書の作成、回答準備など、やることがたくさんあり時間がかかると思いますが、やればやっただけ結果がついてきます。
そして、やればやっただけ、ライバルたちに差をつけることができます。

晴れて希望区の職員として働けるように、今ある資源をすべて面接対策に注いで頑張ってください。

なお、特別区経験者採用の対策では予備校を利用するのが一般的ですが、「どこを選べばいいのか分からない…」という受験生も多いでしょう。
そんな受験生に向けて、下記の記事では特別区経験者採用のおすすめ予備校を紹介しているので、是非読んでみてくださいね。