特別区Ⅰ類採用試験は、1次の筆記試験合格後に面接となります。
過去の受験生の体験談などから、特別区では面接の配点が高いと言われており、面接の成績はとても重要です。
特別区の面接を突破する上でまず大切なのは、面接試験の特徴を把握することです。
特別区の面接は他の地方自治体の面接試験とは異なる部分が多いため、その特徴についてよく理解した上で、それに応じた対策を講じなければならないからです。
まずは、具体的にどのような違いがあるのか下の表をご覧ください。
一般的な地方公務員試験 | 特別区採用試験 | |
面接会場 | 志望先の本庁舎 | イベントホール |
面接形式 | 個室での個別面接 | 各ブースでの個別面接 |
面接官 | ・志望先の職員のみで構成される ・同じ面接官が務める |
・希望区以外の職員もいる ・日時やブースごとに面接官が異なる |
面接内容 | ― | 3分間プレゼンテーションがある(Ⅰ類) |
このような違いについて、実際に特別区に合格した受験生の体験談をもとに、当日の流れや面接の手法などについて解説していきます。
この記事では、「特別区Ⅰ類採用」の面接対策について解説していますので、「経験者採用」の面接対策を知りたい方は下記の記事をご覧ください。
採用までの流れ
まず、特別区Ⅰ類採用試験の採用までの流れは下記の通りです。
・この面接で合格すると「最終合格」となり「採用候補者名簿」に掲載される
※まだ内定ではない
・各区から区面接の連絡が来る
※希望区から連絡が来るとは限らない
・面接形式は各区ごとに異なる(個別面接、グループワークなど)
・各区から合格の連絡が来ると内定となる
特別区においては、筆記試験の後に2回の面接試験を突破して初めて内定となります。
2次試験に合格すると「最終合格」と言われる状態にはなりますが、その後の区面接で合格しないと、特別区職員として働くことはできません。
この記事では、③2次試験(人事委員会面接)について主に解説しています。
区面接は、各区の独自で行われる面接試験であることもあり、個別面接のところもあればグループワークを課すところもあり、その内容はバラバラです。
まずは人事委員会面接の特徴をしっかり押さえ、確実に突破できるように理解を深めておきましょう。
面接会場・日程
特別区の2次試験は、「大田区産業プラザPio」というイベントホールで行われます。
会場:大田区産業プラザPio 1階大展示ホール
アクセス:京急蒲田駅より徒歩約3分/JR蒲田駅より徒歩約13分
例年、面接試験は以下の日程です。
Ⅰ類(大卒程度) | 経験者・氷河期 | |
2次試験日程 | 7月上旬~中旬 ※2023年度は7月9日(日)~7月19日(水)のうち指定された1日 |
10月末~11月上旬の土日祝 ※2023年度は10 月 28 日(土)、29 日(日)、11 月 3 日(金)、4 日(土)、5 日(日)のうち指定された 1 日 |
※区面接は、2次試験の最終合格発表後に順次行われます。
大展示ホールは体育館のような見た目で、そこにブースがずらっと並んでおり、受験生が一斉に入室して面接を受ける流れになります。
最寄り駅は「京急蒲田駅」と「JR蒲田駅」がありますが、大田区産業プラザPioの交通アクセスに写真入りのナビゲーションがあるので、確認しておきましょう。
面接の時間はランダムなので、受験生が候補日や時間を選択することはできません。
また、Ⅰ類の面接は土日・平日問わず行われますが、経験者採用試験の面接は土日祝になるので、土日が仕事の場合は早めに有給等で休みを確保しておきましょう。
面接日当日の流れ
続いて、面接当日の流れを確認しておきましょう。
【2次試験当日の流れ】
・会場入口に入るとすぐ受付があります。
・当日の流れが記載された用紙を渡されます。
・自分の受験番号の席に着席し、指定の時間まで控室で待機します。
・時間になってスタッフから声がかかったら、ホールに移動します。
※グループごとに受験生がまとめて呼ばれるので、後の方のグループの場合はもうしばらく待機することになります。
・自分の面接ブースの入口で待機します。
・面接開始のアナウンスがあったら、一斉にブースに入場します。
・面接官は3人で、各区の管理職が務めます。
・試験時間は30~40分です(試験区分によります)。
※グループごとに時間が決まっているため、試験時間が大幅に増減することはありません。
・簡単なアイスブレイク→(Ⅰ類の場合)3分間プレゼンテーション→面接という流れで行われます。
・面接官から終了の合図があったら、退出します。
・面接が終了したブースから帰宅します。
「ブース」とは、パーテーションで区切られた簡易的な空間です。
この中で面接を行いますが、パーテーションで区切られただけの空間ですので、隣の面接の声も聞こえてきます。
場合によっては、面接官の声が聞き取りづらかったり、自分の声がかき消されたりするかもしれませんので、周囲に気を取られずに目の前の面接官の声によく耳を傾け、いつも以上に大きな声でハキハキを話すことを意識しましょう。
大展示ホールとブースについては、公式サイト上に画像が掲載されていますので、参考に見てみてください。
面接官の特徴
特別区の2次試験の面接官は、各区の管理職3名で構成されています。
どこの区の管理職と当たるかは分かりませんが、受験生の体験談を聞くと、「人事委員会面接と同じ面接官が区面接にもいた」という情報もあり、希望区の職員が1人以上いる可能性があります。
このあたりは、人事委員会側が受験生の希望区を考慮してブースを決定しているかもしれませんので、希望区の職員がいると思っておいて損はないかと思います。
ちなみに、江戸川区のみは、出願時に江戸川区のみを選択する”専願制”になっていますので、面接官も全て江戸川区の職員が担当している点に注意しましょう。
また、面接官の質問の仕方や雰囲気は、ブースによって大きく違いがあります。
「終始和やかな雰囲気で進んだ」という人もいれば、「圧迫ぎみに色々と突っ込まれた」という人もいるため、厳しい面接官に当たる可能性もあるということを念頭においてしっかり対策するしかありません。
どんな面接官に当たっても焦らずにしっかりと自分をアピールできるようにするためには、愚直に面接練習を繰り返すことです。
予備校に通っている場合には、模擬面接にある程度慣れてきたら厳しめにお願いしてみるなど、様々なパターンで話す練習をしてみると良いでしょう。
あえて「圧迫役」を演じている面接官もいますから、終始雰囲気が怖くても、冷静にいつも通りのあなたをアピールできるようにしたいところです。
面接の特徴
コンピテンシー評価型面接
特別区の面接試験は、コンピテンシー評価型面接と言われています。
コンピテンシーとは、高い成果を出す人物に共通して見られる能力や行動特性のことです。
従来の面接手法は、用意された質問をただ投げかけるだけのため、受験生にとっても対策しやすく、本当に成果を上げられる人材を見抜きづらいというデメリットがありました。
それをコンピテンシー評価型面接にすることで、あなたの行動特性を見極め、求める人材に合致するかどうかを評価することができるようになるということです。
大手企業でもこの面接手法を採用しているところは多々あり、合理的な手法の1つと言えます。
受験生の書く自己PRには似たようなものが多々ありますが、コンピテンシー評価型とすることで、受験生それぞれの行動特性を見極めることができます。
例えば、面接の質問に回答した後、その回答に対してさらに理由や状況について深く突っ込まれる場面があると思います。
その「深掘り」がコンピテンシーの核となる部分です。
そのため、面接対策を進めるときには、準備した回答に対して「なぜこの行動をとったのか?」「なぜこう考えたのか?」「それによって何を得たのか?」というように、深掘りをしながら自問自答していく作業がとても重要になります。
「結果よりも過程に重きを置かれている」ということをしっかり理解し、エピソードを整理していきましょう。
そして、この面接手法により、面接では「あなたが経験したオリジナルのエピソード」に基づいて話していくことになるため、嘘をついたり、話を盛りすぎたりすることはやめましょう。
コンピテンシーレベル
コンピテンシーレベルとは、行動特性を以下の5段階に分類したものを指します。
周囲に言われてからする行動
与えられた仕事をミスなくこなす行動
目標に向かって自ら積極的に取り組む行動
レベル4.創造行動
主体的に自ら課題を見つけてする行動
新たな発想やアイデアで周囲の状況を変えるような行動
特別区のコンピテンシー評価型面接においては、レベル5を目指すのが良いでしょう。
なぜなら、「特別区が求める人物像」とリンクするからです。
特別区が求める人材像
特別区は「自ら考え行動する人材」を求めています。・聴くあなた
人の思いを理解し、誠実に[聴く]。そうして、自分のことのようにまっすぐ向き合う。そんなあなたを求めます。・学ぶあなた
向上心を持って、自ら[学ぶ]。そうして、自分を磨き、人として成長していく。そんなあなたを求めます。・考えるあなた
想像力、そして創造力豊かに、人々が笑顔になるための方法を[考える]。そうして、「私は、こう考えます」とポジティブに表現できる。そんなあなたを求めます。・行動するあなた
チャレンジする気持ちを忘れず、周りに働きかけて[行動する]。そうして、チームの中で自分の役割を果たしていく。そんなあなたを求めます。『特別区人事委員会採用試験情報』http://www.union.tokyo23city.lg.jp/saiyo/2022/about.html
特別区では、「自ら考え行動する人材」を求めていますから、それに合致するようなエピソードを準備しておく必要があります。
面接カードへの記載、面接で実際に話すエピソードにおいて、4つの要素をすべて入れ込む必要はありませんが、これらの要素を念頭に置いた内容とすることは意識しておくようにしましょう。
面接カードの特徴
特別区Ⅰ類で提出する「面接カード」は、受験申込(出願)の際に提出するものになります(インターネット申込)。
1次試験(筆記試験)を受ける前に提出することになるため、だいぶ早い段階で内容を固めておかなくてはならない点に注意しましょう。
よくあるのが、申込時に深く考えずに内容を決めて提出してしまうケースです。
出願時から2次試験まで日程がかなり空くので、面接が近くなってから「こう書けばよかった…」と後悔する受験生がこれまでたくさんいました。
そうならないために、最低でも申込の1か月前には自治体研究や自己分析、職務経歴などを整理し、自分はどのような方向性で面接に挑むのか対策を進めておきましょう。
そして、1次試験を突破できた受験生のみが、この面接カードを用いた面接を受けることができます。
このカードの内容に沿って面接が進んでいくことになりますので、クオリティの高いものを作り上げなくてはなりません。
設問項目
面接カードの設問項目は、試験区分別にそれぞれ以下の通りです(年度によって変更となる場合があります)。
【Ⅰ類採用(大卒程度)】(2023年度)
①あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、あなたの強みと志望動機も含めて具体的に書いてください。(250字以内)※面接の冒頭に3分程度でプレゼンテーションしていただきます。
②あなたが一つのことをやり遂げた経験を挙げ、その中で最も困難だと感じたことと、それをどのように乗り越えたかを教えてください。(250字以内)
③目標達成に向けてチームで行った経験において、チームへの貢献につながったあなた独自のアイディアを、ご自身の役割とともに教えてください。(250字以内)
①[全区分共通]あなたが特別区職員を志望する理由を、あなたのこれまでの職務経験や専門知識を踏まえ、携わりたい職務と、その職務を通じて実現したいことを交えて入力してください。(320字以内)②[全区分共通]あなたが、特別区が求める「自ら考え行動する人材」に当てはまる人物であることを、今までの職務経験をもとに記入してください。(320字以内)③[全区分共通]今までの職務経験の中で失敗の許されない状況に直面した際、それをどのように解決に導いたか記入してください。(320字以内)④[1級職のみ]今までの職務経験の中で、あなたがチーム(組織)として達成したことを、あなたのチームにおける役割や、どのようにチームに貢献したかを交えて記入してください。(320字以内)⑤[2級職・3級職のみ]今までの職務経験の中で、あなたが部下や後輩の指導・育成にあたった際、最も重視した点を記入してください。(320字以内)
【Ⅲ類採用(高卒程度)・障害者採用】(2023年度)
①あなたの強みを教えてください。また、それを活かして今後どのような仕事に取り組みたいか、特別区の志望動機も含めて具体的に入力してください。(250字以内)
②ここ数年で、あなたが最も困難な目標に挑戦したことを教えてください。また、それをどのようにしてやり遂げたかを具体的に入力してください。(250字以内)
③チームやグループで協力して取り組んだ課題や目標について教えてください。また、その中であなたの役割と、どのような工夫をして貢献したか教えてください。(250字以内)
Ⅰ類・Ⅲ類・障害者採用は全部で3項目、経験者採用は全部で4項目です。
経験者採用は、1級職は①②③④、2級職・3級職は①②③⑤の4項目となりますのでご注意ください。
また、Ⅰ類では面接カードに記載のある通り、冒頭に3分間プレゼンテーションというものがあります。
プレゼンテーションといっても、資料などを持参するものではなく、①の項目について3分間アピールするというものです。
面接カードの作成(申込)時点では確定的なものを準備する必要はありませんが、面接までに原稿を作成して話す練習をしておきましょう。
記入時の注意点
面接カードを記入するときの注意点として、守ってほしいことを2つに絞ってご説明します。
①結論から書く
まずは、結論から書くことです。
これは一般的によく言われていることですが、できていない受験生が本当に毎年たくさんいるのです。
例えば、面接試験でも「志望理由を教えてください」という質問に対し、以下のような回答をする方がいます。
この回答だと、先に理由や状況説明があった上で、最後に志望理由がきています。
これの何が悪いのかと言えば、結論が始めの方に出てこないので、話が長くなる(長く感じやすい)のです。
面接カードでも、「で、結局のところ何が言いたいのか?」と思わざるを得ないものがたくさんあります。
最悪の場合、質問に答えられていないと判断されてしまいかねません。
公務員として働くにあたって、簡潔明瞭に伝えることは非常に大切なことですから、特に結論から述べるということは意識してほしいと思います。
②分かりやすく書く
次に、誰が読んでも分かるように書くことです。
面接官は、あなたのこれまでの経験を何も知らない初対面の人です。
一日にたくさんの受験生の面接カードを読みますから、分かりにくい内容では読んでいて疲れますし、公務員に必要な文章作成能力が低いと判断されてしまいかねません。
そのため、面接カードを作成したらそのまま提出するのではなく、必ず第三者に読んでもらい(場合によっては添削してもらい)、分かりにくい単語や表現を使っていないか確認してもらうことが必要です。
自分では分かりやすいように書いたつもりでも、内容を詰め込み過ぎていたり、専門用語を使っていたりする場合がありますから、自分の判断だけで終わらせないようにしましょう。
また、他の受験生にはないようなインパクトのある経験が盛り込めれば、記憶にも残りやすく、プラスの評価もされやすいでしょうから、分かりやすさだけではなく、エピソードの質にもこだわりましょう。
面接の対策方法
特別区の2次試験は、個別面接の30分間で決まります。
そのため、どのような質問をされるのか事前に調べておくことがとても大切です。
面接で主に聞かれるのは、下記のものです。
・面接カードに沿った質問(志望動機等)
・特別区に関すること など
例えば、志望動機や特別区に関することを織り交ぜながら聞かれることもあるので注意しましょう。
アイスブレイク
まず、最初に簡単なアイスブレイクがあります。
・今日は会場までどのくらいかかったか?
・ご飯は食べてきたか?
・面接まで何を考えていたか?
コミュニケーションをとりやすい雰囲気を作るために聞いてくれているので、あまり深く考えて回答する必要はありません。
面接カードに沿った質問
いよいよ面接の本題に入ります。
アイスブレイクが済んだら、まずは3分間プレゼンテーションをするよう求められるので、あらかじめ準備しておいたプレゼンを3分程度で発表します。
その後、プレゼンに関連する内容や、それ以外の面接カードの内容について様々な質問をされることになります。
ここで一番気を付けたい点としては、面接カードと実際に話している内容に矛盾が生じないようにすることです。
面接官は面接カードをもとに面接を行っていきますので、書いていることと話が違うと、一貫性に欠けると判断されてしまいます。
そのため、面接までに自分が提出した面接カードを読み込み、想定される質問に対する答えを徹底的に準備しておかなくてはなりません。
面接カードから自分で想定する質問と、第三者が想定する質問とでは視点が異なるため、必ず模擬面接などを受けて第三者に確認してもらうことが必要です。
両親や友人など、まずは身近な人に読んでもらうのも良いでしょう。
そして、過去の受験生の話を聞いてみると、面接官によって質問の内容は大きく異なることが分かっています。
例えば、同じような質問を複数の面接官からされることもあれば、かなり具体性のある質問をしてくる面接官もいます。
また、終始和やかな雰囲気で進む場合もあれば、圧迫ぎみに淡々と進む場合もあります。
どんな面接官にあたるかは完全に運ですから、どんな面接官にあたってもスムーズに受け答えができるように徹底的に対策しておくことが重要です。
志望動機
志望動機の部分では、主に以下のような質問をされることが多いでしょう。
・地方公務員を志望する理由
・特別区を志望する理由
・他の自治体や民間企業の志願状況 など
「他の地方都市の公務員でもいいのではないか」「国家公務員の方があなたのやりたいことができるのではないか」等と面接官に思わせてしまうのはマイナスですから、「特別区職員になりたい理由」について説得力を持って説明する必要があります。
ちなみに、下記の記事では「特別区の志望動機」について解説していますので、詳細を知りたい方はご覧ください。
ガクチカ
いわゆる「ガクチカ」の部分では、主に以下のような質問をされることが多いでしょう。
・なぜサークルに入ろうと思ったのか?
・ゼミの研究内容は何か?
・学生生活で得たものは何か?
・アルバイトで一番大変だったことは何か?
ガクチカは、ゼミやサークル、アルバイトなどの活動が当てはまると思います。
どのような経験をしてきて、どのような学びを得たのかを整理し、特別区職員として働く際にどのように活かすことができるのかをまとめておきましょう。
職務経験
社会人経験がある場合には、職務経験についても聞かれます。
面接官は特別区の職員であり、専門的なスキルを持った人ばかりではありません。
そのため、自分の職務経験について話す際は、その業界を知らない素人にも分かりやすい言葉選びをする必要があります。
また、職務経験は、直近の仕事についてのみ聞かれるわけではありません。
面接カードに記載した、学生を卒業してから現在の仕事までのすべての職務経験について聞かれる可能性があるため、これまでの自分の経歴をスラスラと説明できるようにしておきましょう。
職務経験の質問では、主に以下のような質問をされることがあります。
・なぜ転職しようと思ったのか?
・これまでの仕事で行政との関わりはあったか?
・これまでの職務経験で一番大変だったことは何か?
転職回数が複数ある方は、一つひとつ転職理由を聞かれることもあります。
転職のたびに業界が変わっていれば尚更ですから、職歴の整理もあわせてしておきましょう。
また、今までに出向の経験があったりする方は、その経緯等について説明を求められることもあります。
特別区に関すること
その他にも、特別区に関する様々な事柄を聞かれることがあります。
・特別区が抱えている課題は何か?
・その課題を解決するために何かアイディアはあるか?
・特別区の施策の中で興味を持ったものは何か?
・○○分野に興味を持ったきっかけは何か?
・区役所の改善点はあるか?
・区のイベントに参加したことはあるか?
・ふるさと納税についてどう思うか?
・児童虐待について区はどう取り組むべきか?
志望動機に絡む内容や特別区の政策、時事的な内容など、様々な事柄が聞かれます。
一見難しく見えるかもしれませんが、これまで行ってきた論文の対策と被る部分も多いですから、論文対策のテキスト等を復習しておきましょう。
よく聞かれる質問
頻出3パターン
面接対策をする上で一番重要なのは、”想定外の質問”を可能な限り減らすことです。
緊張している中、自分が対策していない質問をいきなり投げかけられたら、どんなに優秀な方でもあたふたしてしまうのは当然です。
そうならないためには、”想定外”を極力なくしていかなければなりません。
そこで、過去の受験生の体験談をもとに、特別区の面接試験の頻出質問パターン3つをピックアップしました。
面接を有利に進めるためにも、まずはこの3つをしっかり対策していきましょう。
頻出する質問を把握するには、「特別区がコンピテンシー評価型面接を採用している」ということに注目すべきです。
先述の通り、コンピテンシー面接は、高い成果を出す人物に共通して見られる能力や行動特性のことです。
行動特性を見るには、成果だけではなく、なぜその成果が得られたのかという過程に注目していることがほとんどです。
そして、過程に注目するには、以下のような質問によって深掘りされていくことになります。
①「なぜ?」
面接官はあなたの行動に対して、理由を聞いて深掘りしてきます。
例えば、Ⅰ類の設問②「やり遂げた経験」について「なぜそれをしようと思ったのか?」と聞かれることがあるでしょう。
「チームで目標を達成するため」など様々な理由があると思いますが、面接官はこの追求をすることで、あなたの普段の考え方や行動指針を確認しています。
特に、面接カードに書いたエピソードについては聞かれる可能性が高いため、あなたがとった一つひとつの行動について「なぜ?」と自問を繰り返し、当時の自分の行動を振り返って整理しておいてください。
②「どのように?」
「どのように?」というのは、あなたがとった行動の具体的な方法について聞いています。
例えば、部活動の大会で優勝した経験に対して「どのように達成したのか?」と聞かれることがあります。
曖昧な回答は高評価にはつながりませんから、準備したエピソードについては可能な限り具体的に話せるようにしておくようにしましょう。
また、この追求は、あなたの用意した回答の真偽を確かめる方法としても用いられています。
例えば、自分をよりよく見せるために、時には話を盛ったりすることもあるでしょう。
それ自体が悪いという話ではなく、仮に事実と話を多少変えているのであれば、それを一切悟られないように話せるようにしておかなければなりません。
話が矛盾していると「嘘をついているのでは?」と疑念を持たれてしまいますから、注意してください。
③「他には?」
特別区の面接においては、この「他には?」という質問がとても多いと言われています。
例えば、面接カードのエピソードには一切触れずに、「面接カードに書いたエピソード以外で何かやり遂げたことはありますか?」といきなり聞かれることがあります。
1つの回答しか準備していないと詰まってしまいますから、エピソードは全部で3つほど準備しておくと良いでしょう。
また、職歴が複数ある方は、各会社におけるエピソードを1つは準備しておくと安心です。
コンピテンシー評価型面接は「行動特性」を見ているため、「複数のケースで同じような行動をしている」という事実が欲しいのです。
1つの回答だけだと、たまたまその行動に至ったということも考えられるため、面接官は複数の回答を求めてきます。
ただ、すべての想定質問に対して3つの回答を用意しておくのは大変ですから、まずは面接カードの設問1(志望動機云々)以外の項目について、追加のエピソードを1~2つずつ準備しておくと良いでしょう。
方向性が決まっているパターン
一般に、公務員試験の面接においては、”ある程度回答の方向性が決まっている質問”があります。
先述した「なぜ?」「どのように?」などといった質問は、一人ひとりの人生経験が異なる以上、基本的には同じ回答にはなりません。
しかし、よくある質問の中には、誰に聞いてもある程度同じような回答が返ってくる質問があります。
具体的には、下記のような質問です。
・採用されたら本当にうちに来てくれますか?
・希望の部署に配属になるとは限りませんが大丈夫ですか?
面接試験の回答に正解はありませんから、「こういった質問にはこう答えなければならない」というわけではありません。
しかし、例えば上記の「上司と意見が食い違ったらどうしますか?」という質問を投げかけられたとき、「それでも自分の意見を伝えて説得します」や「自分は折れて上司の意見を採用します」と回答する受験生は少ないのではないのでしょうか。
多くの受験生が、自分だけが主張をしすぎることなく、相手の意見をただ受け入れるわけでもなく、「お互いの意見をかわす」「相手の意見も聞く」といった方向性の回答をすることと思います。
また、「採用されたら本当にうちに来てくれますか?」と聞かれて、「併願しているのでまだ分かりません」と答える人もまずいないでしょう。
このように、自分のコミュニケーション能力や意欲を示せる質問においては、ある程度求められている回答に沿った回答をする人が好まれます。
あなたの本気度を確かめられているということですから、しっかり本気度をアピールしましょう。
もし回答に迷ったら、「この回答で”この人と働きたい”と思ってもらえるだろうか?」という視点で考えてみてください。
面接カードのエピソードがどんなに良くても、これらの質問に疑問を持たれるような回答をしてしまっては不合格になってしまいますから、回答の方向性を固めてしっかり準備しておきましょう。
あまり聞かれない質問
特別区の2次試験においては、特定の区を指定されて答えるような質問はあまりありません。
例えば、「○○区の防災対策についてどう思いますか?」「○○区が抱えている問題を挙げてください」などといった質問です。
なぜこのような質問が少ないのかというと、特別区の2次試験は「〇〇区職員を採用する試験」ではなく、「特別区職員を採用する試験」だからです。
特定の区に関する質問については、2次試験に合格した後に行われる「区面接」で聞かれることになりますので、2次試験の面接対策を進める際には、まずは特別区全体に関わる話をまとめておきましょう。
ただし、このような質問が「あまりない」と説明したのには理由があります。
例えば、面接の中で「希望区でどのような仕事をしたいか」といった質問をされたり、あなた自身が「○○区のイベントに参加しました」といった説明をしたりと、特定の区の話が出てきた場合には、それについて聞かれる可能性はあります。
このように希望区の事情や施策を絡めることはありますから、最低限、自分の希望3区についてはしっかりと事前調査をしておきましょう。
まとめ
特別区採用試験は、1次試験と2次試験を加味して合否が判定される仕組みであり、面接の配点が高いと言われています。
そのため、面接がうまくいかないと、いくら筆記で点数を稼いでも意味がありません。
面接の結果次第で、簡単に合否がひっくり返ってしまうことも十分に考えられ、そのくらい特別区の面接対策は重要であるといえます。
筆記試験対策、自己分析、面接カードの作成、模擬面接等やることはたくさんありますが、勉強のために面接対策を怠ることのないようにしましょう。
特別区の面接は他の自治体と異なる部分が多いこともあり、不安に感じることも多いと思います。
しかし、面接自体は求められていることがハッキリしているため、対策が立てやすいともいえます。
勉強ももちろんですが、面接カードを丁寧に仕上げること、しっかりと面接対策を行うことを忘れずに、上位合格を目指してください。