公務員試験の面接での定番質問・聞かれることの答え方!プロ講師が丁寧に解説します。

近年の公務員試験は面接重視の傾向にあるため、面接対策は必須と言えます。

面接でよくある質問はもちろんのこと、面接官の問いに対して的確に答えられないと、筆記の点数が良くても不合格になってしまうことはよくあることです。

コミュニケーションには自信がある!と対策を怠ってしまう方ほど失敗するケースが後を絶ちませんので、誰でも綿密に対策をしていくことがとても重要となるのです。

また、公務員試験の面接は民間企業の面接とは異なる部分も多くありますから、民間企業の面接と同じように対策をしていてはいけません。

今回は公務員試験の「よくある質問」をいくつかピックアップした上で、押さえるべきポイントとあわせて解説していきます。

自己PRをしてほしい

pr自己PRは、決められた時間内に「自分の強み・それをどう活かせるか」を端的に回答することが求められています。
矛盾なく簡潔にまとめ上げているかどうかについても、面接官からみられるポイントです。

よくあるNGな回答としては、以下のようなものがあります。

私は昔から人と話すことが得意なので、コミュニケーション能力を活かして住民対応ができます。
現職でのお客様対応を活かし、住民の話に耳を傾けることができます。

どちらも一見良い回答のように思えますが、今までどのような経験をしてきて、そこからどんなことを学び、公務員としてどのように活かせるかというところまで触れることができていません。

例えば、コミュニケーション能力の高さを強みにする人は多いですが、その能力は公務員以外の場所でも必ず必要になるもので、必ずしも公務員だから必要なものであるというわけではありません。

また、例えばアルバイトや仕事でお客様対応をしたことがあるのであれば、話を聞けるということの他、もっと具体的な実例をもって伝えることができると説得力が増します。

NG例を修正すると、以下のようになります。

私の強みは、柔軟性です。この強みは、現職でのお客様対応の経験から培いました。
現職では銀行の窓口を担当しており、日々様々なお客様がいらっしゃいます。
私はお客様を対応する際に、例えば高齢者の方であればゆっくり丁寧な説明を心がけるなど、お客様に合わせた柔軟な対応を心がけてきました。
このような工夫を続けたことで、クレームを減らし、お客様からもお褒めの言葉をいただくことができました。
この柔軟性を活かし、住民に合わせた対応を通じて○○市に貢献します。

このように、自分の強みとその強みが培われた経験をつなげることによって、どのような形で公務員の業務に貢献できるのかを示すことができます。

【回答のポイント】
①結論(自分の強み・長所)を述べる
②その強みが培われた経験を述べる
③その強みをどのように公務員として活かせるかを述べる

「結論を先に述べる」というのは、論文、面接、プレゼンなど、人に何かを伝えるときに重要となるポイントの1つです。
自己PRであれば、「自分の強み」が「結論」にあたります。

結論のあとにくるのは「理由」です。
その強みはどのようにして得たのか、根拠となる体験談を添えることで、「説得力のある強み」をアピールをすることができます。

強みに関しては、「コミュニケーション能力が高い」や「協調性がある」といった表現がよくありますが、これは話が抽象的になる方が多いため、それを根拠付ける理由がない限りは避けた方が良いです。
「様々な経験」といった曖昧な表現も具体性に欠けるため、使わないようにしましょう。

そして最後に、その強みは公務員の業務にどのように活かすことができるのか。
ここまで述べて自己PRの完成です。

面接官は一日に何人もの受験生の話を聞きますから、自己PRがうまくできるかどうかは評価において大きなポイントとなります。

与えられる時間も限られていますから、30秒、1分などで端的に自分をアピールできるように練習しておきましょう。

民間企業ではなく、公務員を志望する理由は?

administration

よくある定番の質問ですが、多くの受験生が苦戦する質問でもあります。

本音でいえば、「公務員の方が安定しているから」、「福利厚生がしっかりしているから」、「平日の夜はしっかりと休みたい」そんな理由であることが大半です。
しかし、どれも面接には不適切な内容となるのは、皆さん重々承知していることと思います。

この質問の大きなポイントは、「公務員でないといけない理由」を見つけることです。

例えば、以下のような理由があるとします。

子育て支援に携わり、子育て中の親の負担を軽くしたいからです。

これは、「民間企業やNPO法人でもできるのではないのか?」と突っ込まれてしまう可能性が高いです。

その他にも、以下のような抽象的なものはNGです。

住民の役に立ちたいからです。

確かに住民の役に立つというのは、公務員を志望する理由の一つにはなりますが、具体性がないと「民間企業やNPO法人ではできない理由」とはなりません。

また、次のような回答もNGです。

民間企業は利益を求める必要がありますが、公務員であれば、利益は関係なく市民(国民)のために親身になって働けるからです。
公務員の業務は公益性のあるものだからです。

民間企業と公務員の違いの一つとして、”利益追求の有無”があることは確かです。

しかし、利益を求める民間企業があるからこそ経済は回り、それが税収となり、行政サービスの原資となっていることも忘れてはいけません。

それに、公務員は限られた予算の中で最大限のパフォーマンスをしなければなりませんから、国民のために利益を追求しようとする姿勢は公務員にも必要不可欠です。
「利益を追求する=悪いこと」ではないのです。

また、非営利であることが良いというわけでもありませんし、全ての民間企業の業務に公益性がないわけでもありません。

そのため、この質問では、「民間企業の仕事があって私たち全ての住民(国民)に利潤がある」ということを念頭に置いた回答が求められます。

さらに、「自分のこれまでの経験」と「公務員として貢献できること」を結びつけることができれば、より説得力のある回答が可能となります。

【回答のポイント】
①民間企業の利益追求を否定しない
②やりたいことが「公務員でないとできないこと」かどうか
③「これまでの経験」と「貢献できること」を結びつける

適切な回答を出すためには、志望する自治体ではどのような業務があるのか、自分のやりたい仕事は何なのか、果たしてそれは公務員でないと叶えられないのか、よく調べておく必要があります。

それと合わせて、自分が公務員を目指すことになったきっかけや、その市でないといけない理由、実際にその市がやっている施策と絡めて自分が何をしたいのか、何に貢献できるのかという志望動機に絡む部分についても、まとめておくと良いでしょう。

なお、各自治体の部署・仕事内容を調べる方法や志望動機とのつなげ方は以下の記事に載せていますので、あわせてご覧ください。

○○県(都道府県)を志望する理由は?

都道府県庁職員を目指している方の面接でよく聞かれる質問です。

多くの方は、自分が生まれ育った地域を志望しているかと思いますが、そんな方は以下のような回答に注意です。

私が○○県を志望した理由は、生まれ故郷に恩返ししたいと思ったからです。

もちろん、生まれ故郷であることを理由の一つとして挙げることは問題ありませんが、理由がこれだけとなると、他の受験生との差別化ができず弱い回答となってしまいます。

また、受験する都道府県が故郷ではない場合には、以下のような回答が目立ちます。

○○県の地域活性化の政策に共感し、自分も携わりたいと思い志望しました。

もちろん、政策に興味を持って志望したというのは立派な志望動機の一つになりますが、これでは少々抽象的すぎます。

政策に着目して述べる場合には、自分はどのように貢献できるのか、どのような街にしていきたいのか、というビジョンまで合わせて伝えるようにしましょう。

そのためには、単に政策を調べるだけではなく、その政策の課題は何なのか、どういう政策をしていきたいのか等、掘り下げて具体的に述べられるようにしておくことが大切です。

くれぐれも「ホームページを見たら言える」ような回答は避けましょう。

NG例を修正すると、以下のようになります。

私が○○県を志望した理由は、地元である○○県の観光事業に携わり、もっと街を盛り上げていきたいと思ったからです。
私は○○県で生まれ育ち、これまで地元の様々な観光地をまわってきました。
その中で、近年は明らかに海外の観光客が増えていることを実感し、今後の○○県を発展させていくには、彼らに向けた事業が重要な取組になることを肌で感じました。
○○県が力を入れている△△観光事業をさらに発展させていき、地元をより活気のある街にしたいと思い志望しました。

○○市(市区町村)を志望する理由は?

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市区町村の場合は、都道府県よりも住民に近いところで働くことになりますから、その辺りの内容を志望動機に盛り込んでいけると良いでしょう。

生まれ故郷であることを理由の一つとして挙げる場合には、地元に密着することでできることを掲げると説得力が増します。

また、政策に着目して述べる場合には、都道府県と同様、自分はどのように貢献できるのか、どのような街にしていきたいのか、というビジョンまで合わせて伝えていきましょう。

そのためには、志望する自治体がどのような政策に取り組み、どのような課題を抱えているのか、どのような将来像を目指しているのかを調べ、自分の強みや経験と結びつけていく作業が大切です。

なぜ、自分の住んでいる自治体ではないのか?

自分の住んでいる地域をする方は多いですが、中には地元ではない自治体を志望している方もいると思います。
その場合には、「なぜ、自分の住んでいる地域じゃないのか?」という質問をされることが非常に多いです。

本音をいえば、「田舎暮らしはいやだ」「都会に住みたい」「親と離れて暮らしたい」といった理由の方も多いと思います。
中には、第一志望の自治体の受験に失敗して、スケジュール的に受験が可能な自治体を選んだ、なんて場合もあるかもしれません。

しかし、当然これらを理由にして面接官に伝えるのはNGで、「何となく選んだ」としても深く突っ込まれることが予想されます。

このような質問によくある回答としては、以下のようなものがあります。

○○市に祖父母の家があり、昔からよく遊びに来ていて愛着があるため志望しました。

上記のような愛着エピソードは、きっかけの一つとして述べるには問題ありませんが、メインの志望動機となると少し弱い印象になってしまいます。

そのため、このような質問に回答する際には、「志望するようになったきっかけ+メインの志望動機」を組み合わせて述べると説得力が増すでしょう。

そして、メインの志望動機には、自分が携わってみたい政策を絡めることや、自分はどのように貢献できるのか、どのような街にしていきたいのかというビジョン等まで合わせて伝えていきましょう。

地元ではないからこそ客観的に判断できることもありますから、そういった客観的視点を上手く理由に絡めてみるのも良いです。

NG例を修正すると、以下のようになります。

○○市には祖父母の家があり、幼い頃からよく遊びに来ていました。
地元にはない自然の豊かさはとても魅力に溢れており、○○市に愛着を感じています。
そして○○市について調べていく中で、△△事業や□□事業といった住民にとってより住みやすい街づくりを行っていることを知り、私も○○市の職員としてより良い街づくりに貢献したいと考え志望しました。

希望していない部署に配属されたらどうするか?

「どんな仕事でも頑張ります!」という答えは一見正解なようですが、「○○の仕事がしたいって言ってなかったっけ?」と矛盾を生じさせるきっかけにもなってしまいます。

また、「希望の業務ができるよう、どの部署に配属されても精一杯努めます」といった理由も同様で、「希望の部署に配属されなかったら辞めてしまうのではないか?」と思われてしまいます。

やりたいことがあるのはとても素晴らしいことですが、自治体には本当に様々な仕事・部署があるため、自分がやりたいと思っていた仕事に就けるとは限りません。

そのため、このような質問に対しては、希望しない部署に配属されたとしても、前向きに目の前の仕事に取り組む姿勢があることを示していくことが大切です。

やりたくない仕事や苦手な仕事を担当する可能性もあることを十分に理解した上で、職員としてモチベーション高く仕事に向き合うことをアピールしていきましょう。

希望しない部署に配属されることも当然あると思います。
しかし、どのような部署に配属されても担当業務に真摯に向き合い、課題ややりがいを見つけながら前向きに仕事に取り組んでいきたいと思います。

今まで一番力を入れて取り組んだことは何か?

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必ずと言っていいほど聞かれる質問ですが、意外と何を答えたら良いのか分からないと感じる方が多いようです。

基本的には、大学などでのサークル活動や部活動、ゼミ、アルバイト、ボランティアなどの経験を話すことができれば問題ありません。
社会人経験のある方は、それに加えて仕事の経験談も準備しておきましょう。

稀に中学校時代の部活動など、かなり昔の話について話す方がいますが、「最近のエピソードは?」と聞かれてしまうこともありますので、できれば最近の話をメインに準備しておく方がよいです。

また、エピソードの内容は、必ずしも「部活でインターハイに出場した」「海外でホームステイをした」などといった輝かしい経験である必要はありません。

これまでどんなことに力を入れ、そのとき何を学んだのか、どのように公務員に活かすことができるのか、といったまとまりのあるエピソードであるかが重要なポイントですので、自分の経験を丁寧にまとめていくことがとても大切です。
このあたりは、自己PRと考え方は同じです。

例えば、以下のような回答はNGとなります。

私が今までに一番力を入れたことは、ファミリーレストランのアルバイトです。
アルバイトでは誰よりも一生懸命に動き、1年後にはバイトリーダーを任されるまでになりました。

この内容ですと、具体性に欠けています。
「アルバイトを誰よりも頑張った」という経験自体がダメなのではなく、「なぜ誰よりも頑張ったのか」「何をどう頑張って評価されるに至ったのか」が伝わってこない点がマイナスでしょう。

また、バイトリーダーになるということは大変すごいことなのでしょうが、「バイトリーダーになったことで何を学んだのか」「公務員の仕事にどう活かせるのか」という部分まで伝えないと、非常にもったいない回答になってしまいます。

【回答のポイント】
①結論(今まで一番力を入れて取り組んだ経験)を述べる
②そのときどんな困難に直面したか/なぜそれに取り組んだか等を述べる
③どのように解決・達成したか/どのような学びを得たか等を述べる

④その経験をどのように公務員として活かせるかを述べる

上司と意見が対立したらどうするか?

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仕事をする上で、上司など上の人の意見と自分の意見が対立してしまうことはよくあります。

自分では正しいと思っていても、上司から指摘されてしまったときにどう向き合うか、ということが問われているのです。

以下のような回答は、もちろんNGです。

自分の意見が正しいと思われるときには、その意見を貫きます。

たとえ自分の方が正しかったとしても、組織で働く以上は自分の意見を押し通すのは良くありません。

また、反対に、以下のような回答もNGとなってしまいます。

上司の意見には必ず従い、言われたことをしっかりと全うします。

これも求められている回答ではありません。

上司も人間ですので、その意見が間違っていることや住民に対して親身に取り組んでいるとは言えないことだってあります。

これらの回答例から分かるように、ここでのポイントは、極端な回答をしないことが重要です。

そのため、基本的には上司の指示に従いつつ、明らかに間違っていると思われるときには自分の意見も出すといった、角が立たない回答にしておくのが無難でしょう。

民間企業の面接によっては、自分の意見をアピールするという方法が正解な場合もあるかもしれませんが、これはあくまでも「公務員試験」です。
主張が強すぎる受験生は落とされがちなので注意しましょう。

前職を辞めた理由は?

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民間企業からの転職で既に退職している場合は、このような質問を必ず聞かれます。

ここでのポイントは、前職がどんなにブラック企業だったとしても、積極的に否定的な話をしないことです。

例えば「毎日残業続きでしんどかった」「人間関係が上手くいかなかった」などの理由を正直に伝えてしまうと、「また同じようなことがあると辞めてしまうのでは?」と思われてしまいます。

公務員も同じように残業はありますし、休日出勤をしなくてはならないときもあります。
また、自治体によっては閉鎖的な雰囲気が強く、職場の人間関係に悩む職員もたくさんいるのです。

そのため、「何か嫌なことがあって辞めた」という理由を述べるのは好ましくありません。

このような質問に対しては、「公務員になるために退職した」というポジティブな話を伝えるようにしましょう。

例えば、以下のような回答が例として挙げられます。

幅広い業務に携われる公務員の仕事に就きたいと思うようになり、転職活動に専念するために退職しました。

簡単にいってしまうと、公務員の志望理由をそのまま退職理由にしていいということです。

「公務員になりたいと思った→試験対策の時間を作るために退職した」という話の流れは全くおかしくありませんので、面接官にも納得してもらいやすいでしょう。

これをしっかり伝えるためには、公務員になろうと思ったきっかけの出来事や、公務員としてどんなことをしていきたいのかを明確に答えられるようにしておくことが大切です。

まとめ

今回は、公務員試験の面接でよく聞かれる質問について解説しました。

よく聞かれる質問だけあって、皆さんも想定内の内容だったとは思いますが、なかなか適切な回答をするのは大変だということも分かっていただけたのではないでしょうか。

だからこそ、公務員を目指す方にとって、面接対策は必須なのです。

面接官は、公務員を目指している受験生が生半可な気持ちではないことが分かる”熱意”を見ています。

そして、その熱意を伝えるためには、公務員の仕事について理解を深め、あなたが公務員として貢献できるということを根拠を持ってアピールしていくことがとても重要です。

また、最終的に重要なのは、やはり「あなたの人柄」です。

面接中は面接官との”対話”であることを強く意識し、対策してきたことを丸暗記して発表する場にしないようにしましょう。
ある程度話す内容を決めておくことは大切ですが、あくまでも自然に、自分の言葉で伝えられるようにしてください。

そして最後に、面接対策については、なるべく早めに取り掛かるようにしましょう。
特に面接が苦手な方は、すぐにでも対策を開始することをおすすめします。

面接試験においては、話す内容だけではなく「話し方」といった細かいところも重要なポイントになりますので、何度も模擬面接をすることで、面接のレベルを向上させていくことが大切です。

一般的な試験とは異なり、採点基準が分からず緊張してしまう面接ですが、しっかりと対策をとっていれば他の受験生と差をつけることができます。

ぜひ、この記事を参考に合格を勝ち取ってください。